◆IL DIVO◆ シューマン 「バラ、百合、鳩」

Die Rose, die Lilie, die Taube / Schumann
URL : http://papalin.yas.mu/W903/M009/
◇公開日: 2007年5月30日
◇連続演奏時間: 0分29秒
◆録音日: 2007年5月 (46歳)
◆上記の英語の曲目名をクリック
して、Papalinの音楽サイトから
お聴き下さい。(視聴?・試聴?)
三曲目の公開に、とにかく至った。
いいわけは極力控えてきたが、今回は書くことをお許し願いたい。
これほど大変な25秒の曲を、僕は知らなかった。
連作歌曲。できますれば、一曲目から続けて聴いて戴きたい。
Die Rose, die Lilie, die Taube Dichterliebe H. Heine
Die Rose, die Lilie, die Taube, die Sonne,
Die liebt' ich einest alle in Liebeswonne.
Ich lieb' sie nicht mehr, ich liebe alleine
Die Kleine, die Feine, die Reine, die Eine,
Sie selber, aller Liebe Wonne,
Ist Rose und Lilie und Taube und Sonne.
バラ、百合、鳩 詩人の恋 ハイネ
バラ、百合、鳩、そして太陽、
それらを私はかつては愛のよろこびの中で愛した。
私はもはやそれらを愛してはいない、私が愛するのはただ、
可愛いい人、美しい人、心清らかな人、ただ一人の人だけだ。
あらゆる愛の喜びであるその人こそが、
バラであり、百合であり、鳩であり、太陽であるのだ。
歌:Papalin
リコーダー:大勢のPapalin
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
<百年の恋もいっぺんで冷めてしまいそうな、言い訳と舞台裏>
<百年の恋もいっぺんで冷めてしまいそうな、言い訳と舞台裏>
まずは、下の写真を拡大して見て下さいませ。僕の使った楽譜です。
こんなに色々書き込まなければならなかった曲は初めてでした。

「詩人の恋」に魅せられて、
歌おうと思ったのは後悔していません。
現に、一曲目の美しさにめろめろになっていた
Papalinは、一曲目しか考えてなかったのですが
一曲目をアップしていざ聴いてみると、
下手は下手ですが、二曲目が聴きたくなりました。
二曲目もまぁいいでしょう。バラード調のゆっくりとした曲ですからね。
問題はこの三曲目。全く No idea, No plan でした。
さて、どうしましょう。
まず、楽譜をスキャナで読み込んで、新聞広告の裏に印刷しました。
第一曲目で、楽譜に直接ラインマーカーで色をつけたら、
裏の二曲目のページにまでそれが写って痛い目を見たからでした。
最初に決めたのはテンポ。
テノール歌手のプレガルディエンと同じ、
四分音符=112をベースとしたテンポにすることにしました。
妥協は許さない。
この曲にもっとも相応しいと僕が感じたテンポです。
そして譜読み開始。
旋律を頭に叩き込むように読んでは、♪ラララで歌ってみました。
112のテンポは、口の回らない僕には、♪ラララでも追いつかないほど。
やっとのことで、ガイドを録音します。
それはそれは、テンションを上げて・・・です!
♪リ・ライラ、リ・ライラ、リ・ライラ、リ・ライラ ~~~♪
これで、音楽の骨子は全て決まります。
冗長なところ、気に食わないところ、やり直しです。
歌が終わって、最後のピアノ伴奏だけのところなんて、
♪ジャカスカ、ジャカスカ ~~~♪
って歌ってました。(笑)
次。楽譜のピアノ伴奏部分に塗り絵のお時間です。
楽譜を最後まで眺めて、どこをどのリコーダーに吹かせるか、プランします。
今回は、アルト、テノール1、テノール2、バスの四重奏に決定。
ソプラノ・リコーダーを使わなかったのは、
二曲目の、低音リコーダーの伴奏がちょっとお気に入りだったので・・・。
一番簡単なバス・パートから録音します。
簡単ではなくても、バス・パート(最低音のパートから録音します。)
簡単とは言っても、低いF♯の音が決まらなかったり、
ガイドのテンポについていけずに破綻したりで、
結局数回録音し直しましたか・・・。
リコーダーは、余程のことがない限り、低いパートから重ねていきます。
これは僕のやり方です。
ハーモニーを形成していくのに、この方法が僕にはピッタリだからです。
そうして次はテノール2の録音。
これが、何度やっても、できない!
ピアノ譜の3段目から、右手の後拍、そう、
♪んちゃ、んちゃ、んちゃ、んちゃ♪
が全然できないんです。
2小節くらいは合っていても、すぐズレちゃう。
30分くらい奮闘しましたが、困り果てました。
そんなときに、おちゃらけて、
♪ちゃか、ちゃか、ちゃか、ちゃか♪
と吹いてみたら、何とか出来そうな気配。
シューマンさんには悪いけど、いいや、これで行こう!
で、決定。
割とすんなりと、テノール2が録音できて、
続いてテノール1も、アルトも、すんなり録音終了。
早速4本重ねて、リバーブもかけて、パンも振って
(各楽器の音を、左右の広がりが出るように分けること)
聴いてみました。
結構ズレではいるけど、許容範囲だ!
そう、疲れていました。
さて、問題の歌。
口が回りませ~ん。
ハイネもシューマンも、意地悪です!
結局、1日目には完成せず。
2日目に、また挑戦。
2日目だけで、テンション上げっぱなしで、20回は歌ったでしょうか・・・。
それでも歌えてません。
ちょっと小休止させて下さい。
でも、折角だからアップしちゃおっと。
またこっそり入れ替えればいいや。
完
この記事へのコメント
「バラ、百合、鳩」、短いけれどもわたしの大好きな曲。そしてこの「詩人の恋」になくてはならない曲。おまけにもうひとつ。
二曲続いた美しいバラードの後だからこそ、この112のテンポが生きてくるのです。
三曲めでなければなりません(断固!!)
一曲めで歌われた恋への憧れと不安は、二曲目でいっそう深まります。
まさに「想いはあふれて歌となった」感があります。
何かに追われるかのように、ひたすら駆け抜けていく恋人への想いはこの三曲目で、初めて誰はばかることなく誇らかに歌いあげられています。
この瞬間に解き放たれた恋の一途さ、目が眩むような喜びは、このテンポで歌われてこそ。
速いですよねぇ。私もそう思います(笑)。
おまけにドイツ語。
素晴らしく美しい韻を踏んだハイネの詩。
頭、抱えちゃいますよね。
<百年の恋もいっぺんで冷めてしまいそうな、言い訳と舞台裏>
ご苦労、身に迫りました。
そうですよね。歌だけでなく当然ながらリコーダーの演奏も、これは相当苦しいはず。
おそらくは、かつて演奏したことのない速さだったのではないでしょうか。おまけに後拍。
リズム音痴の私には想像もつかないご苦労がおありだったことと思います。
テノール2の、♪ちゃか、ちゃか、ちゃか、ちゃか♪曲にぴったり合っています。バス・リコーダーもしっかり響いていますね。
歌が終わった後のリコーダー、まさに「有終の美」といったところでしょうか。
わずか25秒の短い曲でありながら、不思議な余韻を感じさせる曲です。
この曲のタイトル「バラ、百合、鳩」には暗喩としてのメッセージが込められているのではないでしょうか。
バラが意味するものは愛、そして乙女。
百合は純潔や無垢を表す花。
鳩はおそらく、開放、自由、そして希望。
そう考えてみるとタイトルそのものが、すでに歌の内容を暗示しています。
静かなバラードのあと、急転直下ドラマティックに反転する曲想。
さしずめ、シューマンの面目躍如!といったところですね。
しかしながら、ここでふと思いました。
「鳩」には死のイメージもあったはず・・・
この曲で高らかに歌われる愛の背後に、息を潜めている忌まわしい死。
鳩は希望の象徴であると同時に、この歌曲集の悲劇的な最後をも暗示しているのかもしれませんね。
aostaさん、ありがとうございます。
久しぶりに"努力"という言葉と出会った気がします。それにしても、疲れました。
(*´ー`) フッ
三曲目というのは当然意識はしていましたが、いざ歌って録音となると、この曲だけに集中するのが精一杯で、余裕など全くなし。連作歌曲の流れなんて、どこかに飛んでしまいました。
6曲目まで続く、あこがれに満ちた恋の歌は、ひょっとしたら僕の声に合っているのかもしれないな・・・と思いました。
aostaさん、ありがとうございます。
実は、この曲を歌って気づいたことがあります。それは、ドイツ語の特徴の一つである、破裂音で終わる単語が、ほとんど使われていないこと。liebt(リープト)、einst(アインスト)、nicht(ニヒト)、ist(イスト)くらいです。Kline(クライネ)、Feine(ファイネ)、Reine(ライネ)、Eine(アイネ)なんかは、僕にも発音しやすい音です。速い曲ではありますが、ちょっとだけ、ハイネとシューマンの優しさを感じました。
Heine(ハイネ)って単語は出てきませんね。
ププッ ( ̄m ̄*)
aostaさん、ありがとうございます。
ほんとうに、そうですね。
シューマン自身が言っているのですが、この「詩人の恋」は、歌だけでは歌えない曲集なのだと。ピアノの役割が本当に大きいです。この後奏もその通りです。よく聴くと(よく聴かなくても?)、あの後奏の部分は、バスリコーダーが先行して、高声部のパートを煽っています。
(o^<^)o クスッ
そうそう、もう一つ気づいたことがあります。この曲は、シューマンの有名な歌曲:流浪の民の音型と同じなのですね。タタンタ タタンタというのが同じ。この曲はこんなに明るくて、流浪の民は重々しいというのも、面白いなぁと。
楽譜を見ても、ご苦労な録音のお話を聞いても、短い曲なのに難しいのですね。
素敵な元気なお声が聞けて嬉しいです。
aostaさん、ありがとうございます。
そうなのですか? 知りませんでした。
さすが死人、じゃなくて、詩人にお詳しい。
そういえば、今では(日本では?)、鳩は平和の象徴とされていますが、それは今の日本でのことと、どこかで読んだ覚えがあります。では以前は何だったのか覚えていないところが情けないです。
「死」を意味するとすれば、ハイネやったり、いやシューマンやったり・・・でしょうか。
tonaさん、ありがとうございます。
正味25秒の曲。
こんなに短い曲なのに、おそらく僕の音楽人生の中で、テクニック的に最も難しい曲でした。今までの僕だったら、まず手を出さない(聴いても自分では演奏しない)曲だったと思います。惹かれるとは、自分でも予想できない、大きな力をくれるものですね。自分でも驚いています。ちゃんと歌えるようになりたいと思っていますが、まだ小休止が続いております。
(o^<^)o クスッ
1曲目、2曲目の流れで、なんとなく、大きなタメは感じてましたが・・・・。
シューマンもハイネも初体験なので、極上の連載小小説や、連続ドラマを楽しむような、贅沢を味わわせていただいてます。ほんとに楽しい!
(小さな声で)それで、続きは・・・・?
(この記事の「舞台裏」や、1曲目のコメント欄の録音バランスの御苦労を読んでおきながら、我ながらよくこういうことが言えるものです)
いずれにしても、貴重な体験をさせていただきました。
ほんとうにありがとうございます!
Noraさん、ありがとうございます。
そう予感がありましたか。素晴しい。
今までのPapalinでしたら、ためておいて、ぷしゅ~と終わっちゃっていたのですけどね。(笑)
> (小さな声で)それで、続きは・・・・?
行けるところまで行ってみましょうか。
アウッ (。_°)☆O=(--#)q パーンチ
またよろしくお願いしますね。
聴かせて頂きましたよ。
それも何度も!
一度目はPapalinさんの記事を読みながら。
2度目は楽譜を見ながら。
3度目は記事をすべて読み終えてから。
4度目は目を閉じてしっかりと。。。
ムフフ、2曲目まではゆったりと深く落ち着けるのに。。。
3曲目、何度聞いても首振っちゃいます。
鳩にも負けないくらい振っちゃいます。
息するのさえ忘れちゃってます。
29秒で良かったです。
これが1分ほどだとしたらPapalinさんも私も息絶えちゃいます(笑)
でもでも、おかげ様で元気出ましたよ!
ありがとうございました。
先ほどはコメント有難うございます。
Papalinさんのブログは本物というか
なんていうか素晴らしすぎて私みたいなもんが
コメントしていいのか~なんて思って
お邪魔はしてたんですが…
いつも素敵なお声で素敵です。。。♪
ちょびママさん、ありがとうございます。
やっぱり、撮られる写真と同じように、キラキラ輝いているちょびママさんがいいですね。
そうですね、1分も続いたら、息絶えちゃうかもしれません。そのまえに、1分も続けて歌えないでしょうけど。(笑) いっぱい聴いて下さって、ありがとうございました。
ソナチネさん、ありがとうございます。
僕のほうこそ、たまにしかお邪魔できなくてすみません。お褒めを戴いて、嬉しいです。これからも宜しくお願いしますです。
1,2曲とゆっくり構えて聞いていましたが、3曲目、PCの前に座りなおしました。(^^ゞ
このテンポ、aostaさんのおっしゃる通り、3曲目だから生きるんですね。
録音は、ご苦労なさったでしょう。このテンポでは、しゃべる事も、私には無理です。(^_^X)
沙羅さん、ありがとうございます。
あはは。僕も同じですよ。
(o^<^)o クスッ
初めてこの楽譜を見ながらCDを聴いたとき、まるでホームの目の前で、東海道新幹線「のぞみ」が通過していくような情景でしたもの。歌えるどころか、喋れるようになるのに、どれだけ時間を費やしたことか。それからやっと録音に入って20回ですよ。僕の音楽人生の中では、初めてのことだらけでした。
いつもだったら「こりゃワシには無理じゃ」で終わってましたね。
ププッ ( ̄m ̄*)