◆IL DIVO◆ 「南海譜」
War Sea (NANKAIFU)
URL : http://papalin.yas.mu/W307/M001/
◇公開日: 2007年6月23日
◇連続演奏時間: 3分00秒
◆録音日: 2007年6月 (46歳)
◆上記の英語の曲目名をクリック
して、Papalinの音楽サイトから
お聴き下さい。(視聴?・試聴?)
無伴奏男声合唱のための曲集「あしたうまれる」
8曲ある中で、4番目の曲。前半後半があるとするなら、前半締め括りの曲。
この曲が歌いたかったからと言っても過言ではない。
漢字だと詩の理解を促進すると思われるところがある。
(2番) わかい祖(おや)の こえの泡だち
わかい祖、きっと往路の燃料だけ積載して最前線に向かった兵士たち・・・。
椰子の高さ、珊瑚の赤さ、見るにつけ忍びない。
僕は戦争の本当の怖さ、辛さはわからない。
親を彼岸に送るのは子のつとめ。でも、子を送る親、戦争という尋常でない状況下でなければ、送り出せはしまい。病気でもなんでもない子どもをである。
感情移入が強すぎた分、アンサンブルとしての完成度は落ちてしまった。
最後にトップ・テノーナーを歌ったとき、2番の"
今日はこれ以上歌えない・・・。
合唱:大勢のPapalin ( TenorⅠ / TenorⅡ / Barytone / Bass and more... )
☆ 英語のタイトルはPapalin命名 念のため ☆
この記事へのコメント
空はどこまでも蒼く静まり返っている・・・そんな光景が目に浮かびます。
遠い日夏の日、若い命を散らした兵士たちがいた。
時のめぐりを改めて知らされるのは高く伸びた椰子の樹。そして、あのときにも増してその色を濃く深く染めた珊瑚。情景が美しいだけに胸を突かれる歌です。
彼らの死を悼むのは、生き延びた命。
命から命へと伝えられていく記憶の痛み。そして重さ。
そんなことを想いながら聴かせていただきました。
「われもこう」、あしたうまれる」、「無名」・・・
そしてこの「南海譜」。
第一曲目で、錆付いた扉を作る「われもこう」。
霧が流れる中で誰にも知られぬまま、風に揺れ、露にぬれている扉は、この曲集の記憶の扉ではないでしょうか。時空を超え、生まれ故郷のエジプトに思いを馳せるこの歌は、遠くふるさとを離れて死んでいった若人たちの記憶を開く序章のような気がいたします。
「あしたうまれる」仔馬をささやかな希望と夢とともに待ち続ける少年はこの死せる若人のかつての姿。
もちろん特定の「彼」ではなく、すべての死者が同じくして抱いていたに違いない、未来への希望。
少年は青年となり、自分の意志とは無関係の死を選ばされる。手負いの若き獅子たち。その誇りと無念。
誰からも名前を呼ばれることないまま死へと旅立った無名の戦士たちへのレクイエム。
彼らはもう遠い日の記憶の中にしか存在しません。
彼らの死を看取ったのは物言わぬ椰子の木や珊瑚だったのかもしれませんね。
いつもの私の思いつきに過ぎないことは承知ですが、ここまで聞いて私にはそんな風に思えてきたのです。
aostaさん、ありがとうございます。
どうしてこう、言葉にならない思いが言葉となるのでしょう。aostaさんの才能ですね。
生き延びたことを恥じなければならなかった時代、そういう時代があったこと、そしてそれは今でもあること、覚えておきます。
aostaさん、ありがとうございます。
う~、そこまで読まれましたか。
口が開いたまま、閉じません。
完全に脱帽致しました。
コメントを読ませて戴いて気づいたのですが、「扉」はこの曲集の隠れたキーワードかも知れませんね。本当に恐れ入りました。
ところで、「白青」の残りの47曲の件、ご検討願えたでしょうか。(笑)
そうそう、僕が勝手に曲のタイトルに、拙い英語名をつけているのですが、aostaさんだとどうなるのか、実は興味津々なのですが。
もし感動しちゃったら、こっそり入れ替えます。
(大笑)
aostaさん、ありがとうございます。
記憶、memory・・・
日本語の"記憶"という言葉には、様々な意味があります。肯定的な記憶、否定的な記憶、思い出したくて思い出せない記憶、思い出したくない記憶・・・。英語では、それらはみなmemoryなのかなぁ。
もしそうだとしたら、memoryもタイトルに使ってもいい言葉かも知れませんね。
錨とか鎖も彼らを看取ったのでしょうか・・・。
南国の静かな景色に、死へ赴く者。
感情移入したら、歌えませんね。でも、感情を入れないと、歌にはならないし。そこが、難しいところですね。
>2番の"いかり"で胸がつかえた
Papalinさんの優しさが、伝わってきます。
沙羅さん、ありがとうございます。
沙羅さん、そしてごめんなさいです。
2番の歌詞には、"いかり"は出てこない筈。あれって思って本文見たら、あららポカミスをしてしまいました。2番の歌詞は"くさり"でしたね。
2番のこの歌詞に到達したときに、海に沈んでいった"わかい祖(おや)"たちのことを思っちゃって、船底から海底に繋がる一本のくさりにしがみついて、這い上がりたかったろうなぁ、本心は無念だったろうなぁ、そんなことを一瞬のうちに感じてしまって、ブレスもできずに、詰まってしまいました。
プロは感情移入を抑えて演奏するって聞くけど、それは職業だから? 僕にはできないよ。
まーささん、ありがとうございます。
鋭いですね。僕は99%フラットします。長3度の音で下がって、次に元の音程に戻れないんですね。こんなもんですわ。(笑)
うちの男声合唱団でも、「白青」オリジナルの方の「南海譜」はやりました。やはり、人によってずいぶん曲の作り方は違うものだなあ、と、興味深く聴かせていただきました。
私はね、あえて、さらっと歌いました。私なりの手法です。
ねこまっくさん、ありがとうございます。
あの~、直球で質問してもいいですか?
なぜ、"あえて"なのでしょう?
こういう曲、殆どの合唱団はサラッと歌います。悲しい歌、重い歌はサラッとって、日本の音楽界では定説なのでしょうか。音楽の専門家に是非聞いてみたいです。なぜかみな正面から勝負しない。逃げる。僕はそれがちょっと不満です。
ねこまっくさんが逃げたのだとは言ってませんよ。例えば僕も、この曲を今回のように、曲集「あしたうまれる」の中の一曲として歌うなら、やっぱりこう歌いたいと思いました。でも、この曲集の全8曲を歌うのでなくて、単発でこの曲だけを取り上げるなら、テンポも曲想も今回の歌とは違うかもしれません。前後に歌う曲との関係を考えますよね。指揮者はストーリー・テラーです。
不躾なお返事で、m(_ _)m ゴメンナサイ。
ずっと抱いていた疑問です。
それは「正面から」とかとか、「逃げる」とか「勝負」とかいうことではなく、手法の問題だと思います。
こういう歌詞の曲の場合、言葉の意味に立ち止まって、
その表現をすることの方が、私にとっては、“わかりやすい”表現だと考えます(聴く側にとっても)。言葉を手がかりに、言葉を表現していくやり方。
私は、もう少し、この詩(曲?)には「遠い」というか「俯瞰」の視線を感じたので、あえて言葉ひとつひとつに立ち止まることはやめ、さらりと歌うことで、全体の色合い、流れを重視しました。
この「白青」には、というか、谷川さんの詩には、私はなんだかそういう方がいい気がして。あんまり具象じゃない方がいいような、です。
それが正しいわけじゃないと思います。私は、そういうふうに考えたからそう表現したまでです。(つづく)
そういう意味でも、「白青」は、私にとっても特別な曲集ですね。
とはいえ、「ぶどうとかたばみ」は、ガツーンとやりました。やらいでか!
>悲しい歌、重い歌はサラッとって、日本の音楽界では定説・・・
>>>そんな話きいたことありません(笑)
ただ、これは「日本」に限らず、そして音楽の世界だけに限らないことだと思いますが、“悲しい歌を感情たっぷりに悲しげに歌う”ことで、逆に聴く側にはそれが感情移入のさまたげになる(引いちゃう?)ことは往々にあることです。器楽の曲と違って、歌は言葉があるから、それだけで伝わりやすい。だからこそ、そのさじ加減が難しいですね。要はバランスかと。
ねこまっくさん、ありがとうございます。
敬服いたしました。ねこまっくさんは、尊敬すべき識者、指導者でs。ちゃんとご自分の考えを持っていらして、それを言葉で的確に表現することのできる方ですね。恐れ入りました。
「遠い」「俯瞰」・・・なるほど、ねこまっくさんが仰る距離感ですね。いい言葉、そして、南海譜にピッタリな表現だと思います。僕も「俯瞰」は感じました。そして僕の表現は、このテンポ、この歌い方が一番しっくりきました。・・・というベースは同じなんですね。(^-^ )
谷川さんの詩、ぶっ飛んでますよね。
(o^<^)o クスッ
ねこまっくさん、ありがとうございます。
あ~、超安心しました。
僕自身、今何が僕の音楽なのか、わからなくなっています。結論としては、感じたものを表現するってことでいいと思うのですが、こてこてが好きな私と、サラッとが好きな私と、完全に同居しています。どんなときにどっちが顔を出して、その法則が見えません。そう、言葉で的確に表現することが出来ないんですね。
思うに、クラシック音楽界に「古楽」なるものが登場して以来、こてこて演奏が鳴りを潜めて、さらっと演奏が主流になってきました。話題に上がっていたベト7の第二楽章なんかもそう。ご他聞に漏れず、僕もそれに染まっちゃいました。そうしたら、1970年以前のこてこて演奏が聴けなくなっちゃったんです。悲しいかな、元に戻れなくなっちゃったんです。そんな体験があって、悶々としていたところだったので、ちょっと大人げない書き方をして、ねこまっくさんにその回答を求めてしまいました。
m(_ _)m ゴメンナサイ
そして
☆⌒(*^∇゜)v ありがとう!
多様な表現が生まれる。それがおもしろいところですよね。
そして、演奏者だって、その時その時で状態は変わります。
きっと年齢や、その時々の環境なんかも多分に影響してるんですよ。
私、自分がブラームスの交響曲が好きになるなんて、大学生の時分は考えられなかったですもん。オケの先輩が、熱く語るのを尻目に「なにがよけりゃ、ケッ!」なんて思ってましたから(ゴメンナサイ)。
『こうしなければならない』なんて答えは必要ないと思います、というか、クソくらえです。今のPapalinさんにしか出来ない音楽を大事にされればいいと思いますよ。私もそうするし。
一年後に演奏してみたら、全然違う表現したりして。そういうことも往々にしてありますよね。
ねこまっくさん、ありがとうございます。
そうそう。僕なんか、3分前と違うことを言ってたりなんてしょっちゅうで、だからよく誤解もされます。一年後というのは例に過ぎないのでしょうけれど、僕の場合、それは時間の長さとは殆ど相関関係がなく、やっぱり印象的な体験だったり、人の話や本の言葉だったり、いろいろで、考え方が変わるというか、こういう表現もありじゃんって気づくんですよね。気づくとそっちの方が気に入ってしまったり。
ププッ ( ̄m ̄*)
プロの指揮者が、同じシンフォニーを何度も、それも同じオーケストラで再録音をしたりするのも、新たな気づきを道標として残しておきたいと思うからでしょうか・・・。
ジョワイエさん、ありがとうございます。
ようこそ、いらっしゃいませ。
僕は子供の頃から文学には疎く、自らの経験に基づいての浅い理解しかできません。コンプレックスです。ご指摘の箇所に着きましても、私なりの理解ですので、ご容赦願います。
話は変わりますが、ネットというのは色んな驚きをもたらせてくれるもので、先日、東京混声合唱団の指揮もされる私たち地元の合唱団の指揮者の先生が、こんなお話をして下さいました。彼は東京の合唱団もいくつかご指導されていまして、ある男声合唱団の練習の時に団員から言われたのですって。
「先生は長野でも指揮をされているようですね。長野にはPapalinさんといって合唱曲を一人で歌ってネットで公開されている人がいます。僕らの中では有名な人ですよ。」
それを聴いた先生、「え? その人なら僕の指揮する合唱団の人ですよ。」
ネットって恐しいですね。地元を歩いていますと、見ず知らずの人が微笑んでくれたり、子供が僕を指差すことがあります。まぁこれだけポートレイトを載せていれば・・・。
たんぽぽさん、ありがとうございます。
そして、ようこそいらっしゃいませ。
え~と、今月と言いますと、演奏会当日にコメントを下さったってことですか? きっと7月の間違いですよね。(^-^ )
南海譜。
最初は歌詞がすんなりとは入って来ませんでした。ところがこの素晴しいメロディとハーモニーに乗る曲の谷川さんの詞がまた何と深いのでしょう。ついハマってしまう曲ですよね。
木下牧子さんの曲を歌われるのですね。
僕は合唱組曲は、新実先生の曲以外は殆ど知らないのですが、一曲だけ歌ってます。よかったらお聴き下さい。
URLクリック →
Papalinさんの言われる様に、演奏会は7月の間違いでした(^_^;)
本日ゲネプロ、明日が本番です。
「春に」聞かせていただきました。
ありがとうございます。
私達の合唱団も以前歌ったことがあります。
若いエネルギーが溢れていた頃を思い出しながら、歌いました。
Papalinさんの歌声素敵ですね。
楽しませてもらっています。
たんぽぽさん、ありがとうございます。
そうでしたか。(^-^ ) ニコッ
ゲネプロのあった日の夜。床に就いても、いつもと少し違う心拍数を感じたりで、心が一番充実しているのではないでしょか。
今日は本番とのこと。
楽しんで下さい。
ここ2年くらいで、音楽仲間に言っていること、それは「本番は練習のためにある」です。いい言葉でしょう? 次は「南海譜」ですね。
(^-^ ) ニコッ
いい言葉を教えて頂きました。
Papalinさんの言葉、今日ステージで実感しました。
ゲネプロのあった夜、そして直前の緊張感。
今は心地よい充実感に変わりつつあります。
さて次は「南海譜」をはじめ、どんな歌と出会えるのか楽しみです。
たんぽぽさん、ありがとうございます。
お疲れ様でした。
演奏会の日の夜の正しい過ごし方です。
僕は大抵飲んだくれて、バタンキューです。
翌朝は、目が覚める前から二日酔いで目が覚めます。情けないのですが、繰り返すことも大事です。
南海譜だけでなく、白いうた青いうたから何曲か歌われると、その対比もあって、南海譜も他の曲もその像がもっと浮かび上がって来ますね。