続・大人のひばり講座 《18禁》
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Orsus, orsus, vous dormez trop
URL : http://papalin.yas.mu/W207/
◇公開日: 2007年9月7日
◇連続演奏時間: 2分48秒
◆録音日: 2007年9月 (46歳)
◆上記の英語の曲目名をクリック
して、Papalinの音楽サイトから
お聴き下さい。(視聴?・試聴?)
大人のひばり講座の続編です。
初めての方は、↑をご覧になってからが宜しいかと思います。
面白いですね、調べ出すといろんなことがわかりました。
ちなみに今回も18禁です。良い子のみなさんは音楽だけ聴いてね。
前回、歌詞を全く知らないPapalinの頭の中で、この曲が一体どう見えているかについて、勝手な憶測で持論を展開させて戴きましたが、yasさんから頂戴したコメントがきっかけで、大元の歌曲の「ひばり」の楽譜を手に入れることができました! これがまた、Papalin以上に強烈、辛辣な歌詞がついていたのです。フランスの世俗歌、シャンソンってこうだったのって、驚きますよ。
あれ、そんなの知ってるから今更何も驚かないって? そうかも知れませんね。
だったら、Papalinの毒舌もご覧下さい。尾ひれがついちゃいますから。(笑)
まずは、真面目なところからです。(いつも真面目ですが)
前回のブログのコメントで、yasさんからご指摘戴いた、元の歌詞のひばりの鳴き声の部分です。そう、フランスのひばりは Que dit Dieu(ク・ディ・デュ)と鳴き、イントネーションは頭にアクセントがあるというご指摘でした。この件について、Papalinは、楽譜の音型と異なっているのは何故? という疑問のお返事を差し上げました。この件については、歌曲の楽譜を見て、綺麗に解決致しました。楽譜をご覧下さい。
楽譜の緑色の楕円と、桃色の楕円がズレてますよね。Papalinは、楽譜だけ見たときには、上下がピッタリ一致しているものと思いました。でも、歌詞はこのようにズレていたのです。だから、ひばりの鳴き声と同じで、ちゃんと頭にアクセントがついていたのです。
解決!
さて、問題は次です。
まーささんが、前回のブログのコメントに、対訳を載せて下さいました。僕が買った楽譜と全く同じ対訳です。この歌詞、スゴイですよね。ここにも引用します。
さあさあ眠り過ぎだよ、
可愛いい奥さん。
もう日が昇った、起きなさい。
ひばりの声を聴いてごらん。
プティット、プティット。
日が昇ったと神様が言っている。
リルリ フルリルリ ティティピティ ルリロン。
このいやな、やきもちやきの、角のはえた
気違いの、無作法なコキュを殺してしまえ。
首をくくった老いぼれの股引ほどの価値もない。
このならず者を殺してしまえ。
パンショルリル シャン ショック フロック、
シュル リリ フィドリオシ。
このいやしい、角のはえたコキュを殺してしまえ。
シュニ、シュニ。
彼女を楽しませろ。
飛び跳ね、遊ばせ、喜ばせろ、みんな楽しめ。
好きなようにしゃべろ。
徹夜しろ、眠れ、
好きなだけたたけ。
さもなきゃさっさと死んじまえ。
この歌詞の解説をするのは、いささか無粋とは思うものの、次に続くPapalinの毒舌のためには、やっぱり書かねばなりません。
まずこの歌の状況ですが、不倫の一夜を楽しんだ男が、朝寝をむさぼる不倫相手の奥さんを相手に、妻を寝取られた旦那(コキュ:cocu【フランス語】)のことを中傷しているのですね。それを朝のひばりの可憐なさえずりを持ち出してエスプリを効かせているというわけでしょうか。角ってあれでしょう?
ゴホゴホ。むにゃむにゃ。ぽりぽり。
ところが、これは"対訳"なんです。
ひばりの楽譜には、これとは違って、日本語の別の歌詞がついています。
それも載せましょう。
さあさ目を覚まして
楽しき歌をよくお聞きなさい。
よく耳を澄まして ひばりの歌を
響け歌よ 響け みんな声を合わせ
声を揃え 歌え 踊れ 楽しく
ジュール ティティ
フルリルリティ フルリルリピティ ・・・
山じゅう恋の季節
ティティティ
フルリルリロン ・・・
クディデュ クディデュ クディデュ ・・・
野には花咲き乱れて
山には緑映え
木々に小鳥もさえずり
この世は我らの季節だ
ゆかいに暮らそう
早く起きて
みんなで歌えば 悩みも忘れる
早く早く遅れるぞ
この季節 早く 今だ
もいちど 楽しく 歌えや
春を歌えや この春を
愕然!
日本人って、騙されやすいのね~。
対訳を見なけりゃ、この音符に付いた歌詞だけで歌っちゃうよ~。
どこがエスプリの効いたフランス・シャンソンでしょう?
おまけに、楽譜にはご丁寧に"訳詞"と書いてあるのですよ。
"作詞"と書いてほしいね。だって訳詞ぢゃないもん。
演奏の手引きに、こんなことも書いてありました。
歌詞はなるべく原語によるの望ましい。この全集に付された訳詞はきわめて自由な訳文であり、楽曲の内容理解のための手がかり程度にとどめていただきたい。なお、演奏に先だって、巻末の楽曲解説と原詩対訳とを是非参照していただきたい。
でもって、楽曲解説には、こんなことが書いてあります。
「ひばり」は、鳥の声をあしらった比較的長い自由形式のシャンソンです。テキストはほとんど意味をなしませんが、言葉のおもしろさを徹底的に追求しています。
う~ん、言葉は殆ど意味を持たないか。
だったら、元の言葉をそのまま載せてくれ~。
勝手に意訳どころか誤訳しないでくれ~。
MK省なんか意識しなくたっていいじゃないか~。
それよりは日本人に正しい知識を与えてくれ~。
この歌を、この歌詞だと思って、フランス語で歌われたって、
全く面白くないじゃないか~~~~~~~~~!
そう息巻いている、コシュ(koshu:戸主【日本語】)のPapalinであった。
前回のブログのエンディングをそのまま流用します。
"実は濃厚なルネサンス音楽。ファンが増えましたら嬉しいですね。"
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この記事へのコメント
今回は、わたしも多少まじめな18禁コメント。
実は、ひばりはまだましな方で、このあたりのジャヌカン等のシャンソンの歌詞には、もう唖然とするしかないようなのがあるわけです。
唖然とする表現には、
① 純粋(?)な、18禁の方向性
② 差別等を含む残酷な方向性
の、2種類があり、
①については、もう両手をあげて大歓迎なわけですが、
(え?そうでもない?まあ、いいです)
現代のわたしたちの感覚からすると、②の方はさすがにちょっと困ってしまう場合があります。当時の人もそんなに悪気は無かったのだと思いますが、時代がちがう、ということでしょう。
(いきなりつづきます)
そういう意味で、前回の「ひばり」の、Papalinさんの解釈は、上記①の方向性を、極限まで(笑)追及したもので、「ひばり」の精神を現代に通用する形で見事によみがえらせたものとしてわたしも大喜びしたわけです。
Papalinさん、わかってやってらっしゃるのかと思っていました。(笑)
というわけで、「濃厚なルネッサンス音楽」、これからも、みんなで楽しんでいきましょう!
でも、わたしは、やはり、純粋な18禁の世界が好きだ、ということ。??
まったく、人のブログで何を宣言してるんだか・・・・。
それにしても、楽譜の歌唱用?の日本語歌詞、どうしたらこうなるのか、大笑いしてしまいました。
Noraさん、ありがとうございます。
私はまだ一曲だけしか歌詞を見ていませんが、推して知るべしという気がします。このひばりという歌も、そのタイトルからは容易に想像できない辛辣な歌詞がついていますね。②の線もかなり濃いと思います。確かにちょっと困りものですね。
フランスバロックの音が陰湿というか暗~く感じるのも、こうしたルネサンス時代からの脈々と流れる文化があるからなのかもしれませんね。オトテールのリコーダーの曲なんか、世紀末って感じがします。それが好きなのですが・・・。(^_^;)
Noraさん、ありがとうございます。
いいえ。全然知らずに、無知をさらけ出したまでです。あはは。
> 純粋な18禁の世界が好きだ・・・
よくぞ書いて下さいました。もうおわかりだと思いますが、Papalinは明るいスケベです。(^_^;) でも、なかなかNoraさんのように、マニフェスト宣言できませんよね。(笑)
でもね、思うんですよ。
Noraさんもそうですが、皆さん、ご自分のブログは当然大事だし、それなりの品とか格を保とうとされるのは当然です。でも、こうしてコメントに書いて下さることって、肩の余分な力が抜けていて、読む方はとても楽しいんですよね。本家のブログが楽しくないと言っているのではありません。また違ったお顔を拝見できて、楽しいというか、例えば両方足してNoraさんであると思うわけです。
話を元に戻して、この歌唱用の歌詞は、やっぱり戴けませんよね。ウェルナーの野ばらの日本語訳の方が、まだそれとわかりますものね。
この時代のシャンソンの歌詞はすごいのがいっぱいありますね.Au joli jeu というのなんか最高です.いまの日本でこの曲の歌詞の通り実行したら逮捕されるに違いありません.上には上があって,Il estoit une fillete にいたっては,露骨すぎて対訳が載せられないそうです.まだ私は訳していませんが...
ところで,Choral Public Domain Libraryというサイトはご存知でしょうか.著作権の消滅した曲の楽譜が山ほど収録されています.とかくルネサンスの曲は採算性の理由から日本で出版されるものが少ないので,このサイトができて大助かりです.
http://www.cpdl.org/
ドイツリート「のばら」「ます」・・・「漁師の娘」なんてのもありましたっけ。
ルネッサンスものは、さらにオープン。おおらかな表現ですよね。
訳詞には許せないところが多分にあります。
言語で味わえればそれにこしたことはないのですが、訳詞で世の中に出回ってしまっているもののイメージはすでに美化されてしまっているので抵抗できなかったりします。
フランス文学を語るに「コキュ」と言う言葉なくして」語ることはできません(笑)
いわゆる「寝取られた男」コキュを面白がりばかにする」という気質は、一説によればもともとフランス(かつてはゴール地方と呼ばれていました))に育まれていたゴール人気質から来るのだとか・・・
お堅いイメージで有名な○波書店から出ていた『結婚十五の歓び』と言う本がありました。(今も出てるかしら)
大体コキュは年寄りで若い妻とその恋人に翻弄されるという哀れな物語が多いのですが(哀)同じ中世で、一方では女性を崇拝し理想の恋人のために命をもささげると言う、高潔な騎士道精神と、それを基にした宮廷文化が栄えていたのは不思議です。
「ひばり」の世界はまさにこの前者。
そのものずばり!!
ね。中世って猥雑。
誰ですか猥○○な時代だったんだぁ~!なんて喜んでいらっしゃるのは?
Papalinさんの仰るとおり、これはもう意訳ではなく異訳の世界ですよね。
優れた「意訳」はそれだけで立派な文学作品です。明治時代の夜格調高い翻訳作品の数々は今でもその文学的価値を失っていません。
むしろ最近の翻訳のお粗末さはあきれるばかりの現状です。
さてさて、「ひばり」でしたね。
昔の日本は性に対して今よりもっと開放的であった事はご存知でしょうか。
万葉の時代の、直情的で燃えるような恋の歌が一杯です。
同じ日本人かしらと思うほど開放的でおおか。
江戸時代においても、庶民の間では○○を目的とした大胆な浮世絵が大流行。
この浮世絵はヨーロッパにまで出回って、かの地の女性を喜ばせ、また男性を震撼せしめたという歴史的事実もあります。(笑)
この落差は何でしょう。時代が変わったからでしょうか。それとも「日本人」の意識が何かが変わったのでしょうか。ごめんなさい。ここで異端じゃなかった、いったん中止しますね。今朝は7時から出かけるところがございます。
mesotoniqueさん、ありがとうございます。
そ・そ・そんな歌もあるのですね。
まぁ驚くこともありませんか。(^_^;)
> このサイトができて大助かりです
言ってみました。素晴しいですね。
そうか、やっぱり採算が取れないのですね。権利の消滅しちゃった曲に、高いお金は払わないということなのですね。う~ん。
でもこのサイト、楽譜がfinaleでも提供されていて、移調もボタン一つでできますね。こういうのを使い勝手のいいサイトというのですね。ありがとうございました。
お返事、遅くなってすみません。
ぺこ <(_ _)>
mesotoniqueさん、ありがとうございます。
わざわざ手で打って下さったということ。
ありがとうございます。
aostaさん、ありがとうございます。
中世ルネサンス時代のフランスののお勉強をさせて戴きました。コキュなんて言葉は、フランスの本を読まなければ知りませんよ。僕は知りませんでした。
ぺこ <(_ _)>
> 『結婚十五の歓び』
これって、日本的な「コキュ」の本ですか?
すごいタイトルだなぁ。
aostaさん、ありがとうございます。
臭いものには蓋をしろ的な感覚は、僕には馴染めません。日本も昔は違ったと思うのですが、本当に、いつからこんな風に変わってしまったのでしょうね。残念ですね。
aostaさん、ありがとうございます。
また歴史のお勉強をさせて戴きました。
原作が素晴しいというのに対して、翻訳も素晴しいという作品に出会うことがあります。例えば欧米の作品を翻訳で読む場合、これは絶対に原作には書かれてないよなというような、日本的な言い回しだったり、日本的な事例が書かれていることがあります。それはまさしく意訳なのでしょうけれど、そうしたものに出会ったときに、翻訳者の人生観とか知識とか人間の大きさを感じとることがあります。ただ辞書で訳したようなものは、奥行きがないですよね。
かおるさん、ありがとうございます。
本当に困ったものですね。
いかにも日本人ていう感じです。
余計なお世話してくれなくていいのに。