『椿姫』 プラハ国立歌劇場
ピアノの発表会の片付けもそこそこに、山を一つ越えたお隣の伊那市に、オペラを観に行ってきました。僕にとっては初めての『椿姫』鑑賞でした。ヴェルディの最もポピュラーなオペラでしょうかね。プラハ国立歌劇場の公演でした。
伊那市とかお隣の駒ヶ根市は、いわゆる旧共産圏のオペラハウスの来日公演を積極的に呼んでくれますので、とても助かるのです。お安く聴けるのが嬉しいです。本場欧州でオペラを観たことのある僕は、どんなに素晴しいものでもやっぱりそれなりのお値段で観たいものだと思うようになりました。今回はB席で5000円。11月に来るVnのクレーメルとPfのツィマーマンの二人だけのコンサートが全席14000円というのを考えますと、100人規模の公演で5000円でいいのかなとも一方では思うのですが・・・。
というわけで、毎年近くでオペラが観られて嬉しいです。こんな席で観ました。長野県のホールも、古いホールは天井が低いのですが、ここ20年くらいの間に出来たホールは、オペラハウスも意識しているのか、そこそこです。僕はオペラは双眼鏡を持って、大抵2階席で観ます。
椿姫といったら、まずは主役のプリマドンナ:ヴィオレッタですね。パンフレットには、ゲスト歌手が二人載っていましたが、今回歌ったのは歌劇場所属のプリマでしょうか、シモナ・プロハースコヴァさんでした。 --- 地方公演ではトップ・キャストは難しいでしょう。それは諦めないといけません。 --- 金髪の髪がとっても綺麗な容姿端麗な方でした。ヴィオレッタは、ドラマティコ、コロラトゥーラ、リリコと、さまざまな声が要求される役どころ。シモナさんの声は強靭なタイプではなく、リリコでしたが、その声は、僕の一押しのバスバリトン:ニコライ・ギャウロフの奥様でもあり、先日亡くなったパヴァロッティの同級生でもあったあのミレッラ・フレーニを彷彿させるではないですか。そういえば容姿も似てましたし、低音の地声も似てました。演技も自然で上手く、好感のもてるヴィオレッタでしたね。
それにしても、カラスばかり聴いてきた僕は、やっぱりマリア・カラスの偉大さを改めて知ることとなりました。楽譜にないカラスの高音(?)が聴けないと、物足りなく感じてしまうのはいけませんね。(^_^;) (おー、なぜマリア・カラスは呼び捨てにしてしまうのだろう。カラスさんとは何故か言えないこの不思議・・・。既に亡くなった人だからだろうか・・・。いま気がつきました。)
相手役のアルフレード。マルティン・シュレイマさんですが、テノールの歌手は、分不相応にも私はライバル意識丸出しで聴きます。(^_^;) 彼は第一幕(乾杯の歌やヴィオレッタとの重唱)では物足りなさを感じたのですが、第二幕以降は、力強さが声に表われてきて、よかったと思います。やっぱりカルメンのドン・ホセのような、なよなよ男はいけないです。(^_^;)
一押しは、アルフレードのお父ちゃんであるジョルジョを歌った、マルティン・バールタさんでした。医者グランヴィル役のミラン・ビュルガーさんもそうですが、バス・バリトンの低音の魅力には参ってしまいます。そして素晴しい声量。もう嫉妬の嵐でした。
さて、もう一つ好感が持てたのは、演出でした。今注目のアルノー・ベルナールさんによるものでしたが、舞台の大道具・小道具は、全てモノトーンでした。衣装も上の写真のように、グレーこそ含めど、やぱりモノクロの世界でした。色があったのは、第二幕の田舎の部屋に差し込む日の光を意識したと思われる、床にばら撒かれた花びらと、第三幕のヴィオレッタのハンカチについた喀血の赤だけ。なんとも考えられた、心憎い演出でした。
初めて知ったのは、オーケストラの演奏でのことですが、第一幕を観ていましたら、あるとき突然音がモノラルで聴こえてきたのです。あれ?っと思ってピット内を見たら、音が鳴っているのに、オケのメンバーは全員楽器を奏でていないのです。なんと録音を流していたのです! CDはもちろん、LDやDVDでもこれは見れません。最初は解せなかったのですが、第三幕でその謎が解けました。第三幕の舞台はヴィオレッタの寝室です。外から謝肉祭の音楽が聞こえて来ます。その場面が録音で流されていました。ほほ~ぅと思った次第です。
それと、パンフレットを見ていたら、なんとこれまた僕のごひいきの西本智実さんも指揮する公演があるのですね。まぁ大都市での公演でしょうから仕方ないですが、あのエメロンヘアを振り乱して振る(?)お姿をいつか見てみたいです。
楽しかった一夜。メンバーは次の愛媛公演に向けて、バスで移動するようで、音楽家は今も昔も旅人生だあぁと改めて思いました。そのバスの前で、ご自由にお持ちくださいとあったポスターを持って喜ぶPapalinでございます。
行きは高速でビュ~ンと。帰りは一応ショートカットの峠越えで、余韻を楽しみながらゆっくり帰ってきました。よく晴れた天気は夜まで続きまして、夜景が美しかったです。左の光のないところが諏訪湖。向こうの山は蓼科山と北横岳です。
諏訪市から茅野市にかけての、4万$くらいの夜景です。
伊那市とかお隣の駒ヶ根市は、いわゆる旧共産圏のオペラハウスの来日公演を積極的に呼んでくれますので、とても助かるのです。お安く聴けるのが嬉しいです。本場欧州でオペラを観たことのある僕は、どんなに素晴しいものでもやっぱりそれなりのお値段で観たいものだと思うようになりました。今回はB席で5000円。11月に来るVnのクレーメルとPfのツィマーマンの二人だけのコンサートが全席14000円というのを考えますと、100人規模の公演で5000円でいいのかなとも一方では思うのですが・・・。
というわけで、毎年近くでオペラが観られて嬉しいです。こんな席で観ました。長野県のホールも、古いホールは天井が低いのですが、ここ20年くらいの間に出来たホールは、オペラハウスも意識しているのか、そこそこです。僕はオペラは双眼鏡を持って、大抵2階席で観ます。
椿姫といったら、まずは主役のプリマドンナ:ヴィオレッタですね。パンフレットには、ゲスト歌手が二人載っていましたが、今回歌ったのは歌劇場所属のプリマでしょうか、シモナ・プロハースコヴァさんでした。 --- 地方公演ではトップ・キャストは難しいでしょう。それは諦めないといけません。 --- 金髪の髪がとっても綺麗な容姿端麗な方でした。ヴィオレッタは、ドラマティコ、コロラトゥーラ、リリコと、さまざまな声が要求される役どころ。シモナさんの声は強靭なタイプではなく、リリコでしたが、その声は、僕の一押しのバスバリトン:ニコライ・ギャウロフの奥様でもあり、先日亡くなったパヴァロッティの同級生でもあったあのミレッラ・フレーニを彷彿させるではないですか。そういえば容姿も似てましたし、低音の地声も似てました。演技も自然で上手く、好感のもてるヴィオレッタでしたね。
それにしても、カラスばかり聴いてきた僕は、やっぱりマリア・カラスの偉大さを改めて知ることとなりました。楽譜にないカラスの高音(?)が聴けないと、物足りなく感じてしまうのはいけませんね。(^_^;) (おー、なぜマリア・カラスは呼び捨てにしてしまうのだろう。カラスさんとは何故か言えないこの不思議・・・。既に亡くなった人だからだろうか・・・。いま気がつきました。)
相手役のアルフレード。マルティン・シュレイマさんですが、テノールの歌手は、分不相応にも私はライバル意識丸出しで聴きます。(^_^;) 彼は第一幕(乾杯の歌やヴィオレッタとの重唱)では物足りなさを感じたのですが、第二幕以降は、力強さが声に表われてきて、よかったと思います。やっぱりカルメンのドン・ホセのような、なよなよ男はいけないです。(^_^;)
一押しは、アルフレードのお父ちゃんであるジョルジョを歌った、マルティン・バールタさんでした。医者グランヴィル役のミラン・ビュルガーさんもそうですが、バス・バリトンの低音の魅力には参ってしまいます。そして素晴しい声量。もう嫉妬の嵐でした。
さて、もう一つ好感が持てたのは、演出でした。今注目のアルノー・ベルナールさんによるものでしたが、舞台の大道具・小道具は、全てモノトーンでした。衣装も上の写真のように、グレーこそ含めど、やぱりモノクロの世界でした。色があったのは、第二幕の田舎の部屋に差し込む日の光を意識したと思われる、床にばら撒かれた花びらと、第三幕のヴィオレッタのハンカチについた喀血の赤だけ。なんとも考えられた、心憎い演出でした。
初めて知ったのは、オーケストラの演奏でのことですが、第一幕を観ていましたら、あるとき突然音がモノラルで聴こえてきたのです。あれ?っと思ってピット内を見たら、音が鳴っているのに、オケのメンバーは全員楽器を奏でていないのです。なんと録音を流していたのです! CDはもちろん、LDやDVDでもこれは見れません。最初は解せなかったのですが、第三幕でその謎が解けました。第三幕の舞台はヴィオレッタの寝室です。外から謝肉祭の音楽が聞こえて来ます。その場面が録音で流されていました。ほほ~ぅと思った次第です。
それと、パンフレットを見ていたら、なんとこれまた僕のごひいきの西本智実さんも指揮する公演があるのですね。まぁ大都市での公演でしょうから仕方ないですが、あのエメロンヘアを振り乱して振る(?)お姿をいつか見てみたいです。
楽しかった一夜。メンバーは次の愛媛公演に向けて、バスで移動するようで、音楽家は今も昔も旅人生だあぁと改めて思いました。そのバスの前で、ご自由にお持ちくださいとあったポスターを持って喜ぶPapalinでございます。
行きは高速でビュ~ンと。帰りは一応ショートカットの峠越えで、余韻を楽しみながらゆっくり帰ってきました。よく晴れた天気は夜まで続きまして、夜景が美しかったです。左の光のないところが諏訪湖。向こうの山は蓼科山と北横岳です。
諏訪市から茅野市にかけての、4万$くらいの夜景です。
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この記事へのコメント
それにしても5000円は安い!
昔、オペラの伴奏をしていた頃、本物が聴きたくて見たくて・・でもお金がないから少しでも安くチケットが買いたくて銀座で寝袋持って並びました。
今はそういう時代じゃありませんね。
「トラヴィアータ」は映画プリティウーマンに出てきます。
あの映画好きなんですけどPapalinさんはご覧になったことありますか?
ラストシーンリチャードギアーがリムジンにのって花束もって彼女を迎えに行くシーン。
「椿姫」のメロディー感動的です。
「プロバンスの海と陸」、しみじみと聞きほれてしまいました。
地方公演とはいえ、お安すぎないですか。でも、いいですね。こんな公演をしてくれるホールがあって、羨ましいです。
「椿姫」は、2005年のザルツブルクのDVDをお借りして、見ました。あれ以来、ジェルモン役のハンプソンの声に、嵌りました。
「
duftenwindさん、ありがとうございます。
観たことありますが、記憶にありません。
強烈に記憶に残っているのはこれです。⇒
aostaさん、ありがとうございます。
写真提供も併せてお礼を申し上げます。
バスのアリアって、どうして素晴しいのでしょう。昔はテノールのアリアだけ耳に残ったのですが、バスのアリアを聴いてしまうと、テノールのアリアが薄っぺらに聴こえてしまいます。ホールをあとにするときに、耳に鳴っていたのは、プロバンスの海と陸の音でした。
沙羅さん、ありがとうございます。
ハンプソン、美形ですよね。美声ですよね。背が高いですよね。顔が長いですよね。全て、Papalinと逆ですよね。
(((((((((((o_ _)o ドテッ ∥出口∥
彼はオペラで知りましたが、リートもなかなかです。もう知ってらっしゃるでしょうけれど。
> お安すぎないですか。
SS:12000 S9000 A:7000 B:5000 C:3000
大都市の半値かなぁ。
でもまぁリーズナブルでしょう・・・。
papalinさんずるい!ミステリオーゾです。。
私がお相手した椿姫の彼女は、もっと細く病弱で言えばはまり役でした。でもみごとなコロラチュアソプラノでした。高い音をころがすように歌っていました。
ええとプリティウーマンですが、ドレスアップして飛行機チャーターしてオペラを観に行くシーンがあるのですが、そのオペラが「椿姫」
娼婦である自分の身と重ね合わせ、ボックス席でぼろぼろに泣きながら、このオペラを観ていました。
duftenwindさん、ありがとうございます。
duftenwindさんの告白、すごいですね。
今でも続けていらっしゃるのでしょうか?
ジュリアロバーツがですよ!!
映画ご覧になったんじゃないんですか?
オペラが終わって近くの席に座っていた貴婦人が泣きじゃくる彼女に「お嬢さんどうでした?」って聞くと彼女は「☆★ちびりそうでした」・・・(爆)
ヒロインが娼婦に戻るのはやめようと決意する重要なシーンなんだけどなぁ・・・
だから映画のラストシーンは花束持った彼が「椿姫」のメロディーにのって高所恐怖症にもかかわらず非常階段のぼって迎えにくるんですよ。
高い塔のてっぺんに閉じ込められたお姫様を白馬にのった王子様が助けにくるみたいに。
ロマンティックで感動的なんだけどな・・・
duftenwindさん、ありがとうございます。
もう一度読み返したら、理解できました。
ブログにコメントありがとうございました。
恥ずかしながらコメントいただくことがめったにないので、今日管理のページに行ってはじめて気が付きました。ごめんなさいデスm(__)m
今日、Papalinさんの記事を読んだら聞いたときのことがよみがえってくる感じでした。
オペラは好きで毎年来てくれるオペラを見ています。いつか、合唱でもいいので板に上がってみたいと思っているのですが。
ブログとても興味深かったので、また寄らせてください。
いむらっちさん、ありがとうございます。
そして、ようこそいらっしゃいました。
この記事を書いてから、当日のプリマドンナのことをネットで調べましたら、いむらっちさんのブログにぶつかりました。そうしましたら、いむらっちさんが同じオペラをご覧になったことと、感想に共通点が多いことに驚きました。
欧州のオペラハウスがこんな地方まで足を運んでくださるのはありがたいと思って、僕もなるべく観るようにしています。その度に発見があって面白いです。
> 合唱でもいいので板に上がってみたいと
いいですね。僕も狙ってます。
主役でもいいなと思っています。
(._・)ノ コケ
これからも宜しくどうぞ。
捻り過ぎて「??」もしくは「!?」となる演出はどうも・・・。
プラハ国立歌劇場の公演は一度だけ観たことがあり、同じくヴェルディ(アイーダ)でしたが、奇をてらわない演出で好感が持てました。
ところで私も西本さんの指揮が好きなんです。同い年なんですが、憧れてます。ミーハーなことにあの前髪を真似して伸ばしてみました。
(エメロン・ヘアの意味を思い出すのに5秒ぐらい掛かっちゃいましたよ^^;懐かしい・・・)
Fu Shuseiさん、ありがとうございます。
自分が演出家だったらどうなんだろう。
今までとは何か違うことを求めはしないだろうか。特に芸術の面においては。芸術家にとって「○○に似ている」とか、「○○の系統を受け継ぐ」といった形容詞は時として無意味なのかもしれませんね。斬新性、奇抜性というようなものと、安定性のようなものの狭間のぎりぎりのところで勝負して出来上がるのが芸術性なのかもしれません。
西本さん、いいですね。同い年ですか。Fu Shuseiさん、お若いですね。(^-^ )
彼女は大阪人で、こてこての大阪弁を喋られるとか。絶対に声は聴かないことにしています。大阪弁、個人的に苦手なもので・・・。(^_^;)
うおー、メモメモ~。
狭間のギリギリ。そこがポイントですね。
その見極めを誤って、作品の本質をひっくり返してしまうほど歪めてしまうのは論外ですね。
西本さんはコテコテの喋りですね(笑)
ちなみにソプラノの森麻季さんも70年組です。
Fu Shuseiさん、ありがとうございます。
仰る通りだと思います。
僕は幸いにしてまだ劇場(ホール)でそういう演出に出会ったことはありませんが、きっと戸惑うでしょうね。
昔オペラというものを観てみようとNHK教育テレビで始まる時間を楽しみに待って観たときに、たまたまそれが現代風演出だったんですよ。ビジネスの世界の普通の衣装でのオペラ。何か違うんじゃないかと思っちゃってね。気になってアリアもゆっくり聴けませんでしたね。(^_^;)
そうそう。昨日西本さんの年齢ことを調べていたら、週刊朝日にずいぶんと叩かれたことを知って愕然。音楽って、何が本当かわからない世界ですね。
そうそう。そして、自分がソプラノ歌手の中丸三千穂さんと同年だということを知りました。あ~、自分の年齢ばらしちゃった~!
シ~ン O=(_ _ パタリ