◆IL DIVO◆ 5声のイン・ノミネ / クリストファー・タイ
≪生演奏を公開しています≫

In Nomine a 5 / Christopher Tye (1500-1573)
URL : http://papalin.yas.mu/W050/#M011
◇公開日: 2010年7月22日
◇連続演奏時間: 32分4秒
◆録音日: 2010年7月 (49歳)
上のアルファベットの曲目名を
クリックして、Papalinの音楽サイト
からお聴き下さい。(視聴?・試聴?)
イン・ノミネ(ラテン語:In Nomine)
について、Wikiから引用します。
『16世紀から17世紀にかけてイングランドで創られた、単旋聖歌「なんじ聖三位一体に栄光あれ」(Gloria Tibi Trinitas)の一部分を定旋律とするポリフォニックな器楽曲の名称。「イン・ノミネ(・ドミニ)」という名称は、「(神の)御名において」という歌詞の部分から定旋律が始まることに由来する。』
つまり、ある声部に、特定の定旋律と呼ばれるゆったりとしたメロディを配し、そのまわりの声部がいろいろとポリフォニックなことをする音楽です。定旋律はアルト声部に置かれることが多いようですね。このクリストファー・タイは、イン・ノミネの大家、Wikiでも代表的な作曲家であると紹介されています。
イン・ノミネに関する高校時代の思い出
室内コンツェルトで、どの作曲家だったかは忘れましたが、先輩が「イン・ノミネを演奏しよう。」と言うと、私はあまり乗り気がしませんでした。それは、1年生の頃、私は主としてテナー・リコーダーを担当していましたので、テナー・パートはそこそこ動きがあるのですが、アルト・パートを担当する人が、あからさまに嫌な顔をするんです。大抵において、アルト・パートを担当する人が、この曲をやろうとは言い出しません。花形ソプラノを担当する3年生の先輩が言うんですね。私はアルト担当に同情していたのを思い出しました。
さて、今こうして21曲のイン・ノミネを演奏してみますと、大抵アルト・パートに登場する定旋律の演奏は、さほど苦痛は感じません。むしろ、このパートを演奏する楽器(主としてアルトとバス・リコーダー)の音程を確かめられるいい材料となったり、変動しない確かな息の確認になったりします。
バス・リコーダーの音程は、その指穴の不自然な開け方から、通常の運指で正しい音程が得られないので、自分なりにメックのこのバス・リコーダー専用の運指を考え、それに慣れています。今回もほぼそれで間違いないことを確認できました。一方、今回の演奏でよくわかったのは、メックのアルト・リコーダーの癖でした。私は高音楽器になればなるほど音程への不安が増します。そういう意味で、アルトやソプラノ、ソプラニーノは本当に難しい楽器だと思います。大抵の人は、リコーダーを始めるのに、ソプラノやアルトから入りますが、音程的には、最も難しい楽器から入ることになります。皮肉なものです。
さて、この16世紀イギリスの作曲家:タイのイン・ノミネ、いいですね。気に入ってしまいまして、一気に演奏しました。イン・ノミネは元々の定旋律がゆったりしたものなので、ゆったりと演奏される曲だと思いますが、ポリフォニー担当の声部に変わったリズムが登場する曲があったり(4番・6番)、3連符が登場したり(5番・8番)、調が開始の調と変わっていってしまったり(いくつか)、5拍子の曲があったり(13番)、全く異なる曲想のものが突然出てきたり(19番)、最後の21番は6声あったり・・・。非常にマニアックであり、そうしたことが当時の音楽そのものであり、それはバッハやモーツァルト、ひいてはブラームスなんかまで脈々と根底を流れていたり受け継がれていたり。そんなことを感じながら、この16世紀イギリスの作曲家の作品を楽しんでみました。私としては、21曲全てにおいて、終止音は見事に決まったと思っています。終わりよければ何とやらで、聴いていて気持ちがいいですね。
ちなみに、”5声の”と書きましたが、正式には単なる”イン・ノミネ”です。1番は4声、21番は6声です。
ちなみに全21曲のスコアをネットからダウンロード印刷しますと、厚さ7mmになります。(^_^;)
エオリアンさんの楽譜を使わせて戴きました。
使用楽器
ソプラノ フェール 薔薇
アルト メック 黒檀
テノール 全音 桜
バス メック 楓
グレートバス キュング 楓
コントラバス キュング 楓
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この記事へのコメント
オケゲムやジョスカン・デ・プレの音楽とは明らかに一線を画した曲のように思います。
一見淡々と流れていくようで、奥が深い演奏です。
ゆっくりとしたテンポでありながら闊達で不思議な明るさを感じるのは、時代でしょうか。
>21曲全てにおいて、終止音は見事に決まったと思っています
確かに!
ほれぼれとするようなハーモニーです。例えるならば「いぶし銀」の魅力とでもいうべきかしら。それそれぴたりと美しく着地していますね(*^^)v
昨夜遅く寝ぼけ眼で書き込みしたコメント、今読み返しみて、間違えているところがありましたので、訂正させて下さいね。
タイのこの「イン・ノミネ」は、教会のために書かれた作品ではないようですね。
教会でうたわれていた作品を元に作曲されたものとのことで、私の頭の中でごっちゃになってしまいました
P2さん、ありがとうございます。
この曲たちを、私は気に入っています。
イン・ノミネは、以前はしっくりこなかったのですが、そのいぶし銀のような渋さに気づかなかったということですか。この時代の、様式美を追求する音楽の真髄を見たような、そんな感じがしました。
aosta、ありがとう。
エオリアンの知足庵さんが、イン・ノミネの大家と書いておられますが、本当にそう思いました。イン・ノミネをここまで昇華させた偉大な作曲家だと思いました。
> ぴたりと美しく着地していますね(*^^)v
最低でもこのくらいでないと、お金を戴けません。
あ、ここは無料サイトでした。
(。^。)コケ!
aosta、ありがとう。
帰省して友達と松本で飲んでいた息子の帰りを待つ母。
いいもんですな。
僕は爆睡してましたが・・・。(^_^;)
ichiさん、ありがとうございます。
これまた随分とマニアックで深いところにコメントをありがとうございます。BGM再生でここに来られたのでしょうか、それとも目的をもってここに来られたのでしょうか。
i-phoneいいですね。喧騒の都会で、自分のまわりだけという表現が素敵です。大学生の頃、ちょうどソニーのカセットウォークマンが登場し、そういう世界を堪能しましたが、田舎に帰ってきたら、ステレオかカーステレオがメイン。最近はもっぱらPCで音楽を聴くことが多いという変わりようです。庭仕事が始まれば、携帯オーディオの登場もあるでしょう。私の生活では携帯オーディオは完全に季節商品です。(^^;
一昨日、庭でいち早く花を咲かせるクロッカスが、地面から顔を出しているのを発見しました。いつ咲くのか、楽しみにしています!
ichiさん、ありがとうございます。
なるほど、そういうわけでしたか。
そちらは暖かいのでしょうね。こちらは朝起きたら、煙草の火消し用の缶の水が、がちがちに凍っていました。この時間でも寒いです。