◆IL DIVO◆ ヒルデガルド・フォン・ビンゲン / Item de virginibus ほか
≪生演奏を公開しています≫

Hildegard von Bingen (1098-1179) / Item de virginibus etc.
URL : http://papalin.yas.mu/W003/
◇公開日: 2011年1月18日
◇演奏時間: 12分56秒
◆録音日: 2011年1月 (49歳)
上のアルファベットの曲目名を
クリックして、Papalinの音楽サイト
からお聴き下さい。(視聴?・試聴?)
マショーのノートルダム・ミサ曲を
昨年暮れに演奏して以降、
ルネサンス以前の音楽に興味をもち、
いろんな本も読んでいます。
今読んでいるのは、中公新書の
『西洋音楽史』(岡田暁生著)です。
中世音楽については全体のページの
1割程度しかページを割かれていないのですが
そこに目を凝らしています。
浮世では古典派の音楽を演奏しているのですが、
どうしても、この人(ヒルデガルド)の音楽を自分でも演奏してみたくなったのです。
ヒルデガルド・フォン・ビンゲンについては、労を惜しんで、こちらを参照してください。
1曲目の音域に驚いています。3オクターブ近くあります。
ですので、楽器はテナーとバスの2本を使わざるを得ませんでした。
それにしても、4線のネウマ譜で事足りる時代だったのに、
3オクターブ弱とは、すごいことです。
どう記譜したのでしょう、不思議です。
一人でこれを歌ったのでしょうか、それも不思議です。私には無理です。
3曲目以降は、現代人によるアレンジ版です。
ジュスマイヤーがモーツァルトのレクイエムを完成させたのとは違い、
これは、ヒルデガルドのモチーフを使った、Cheryl Lynn Helmさんの オリジナル作品です。
11世紀の音楽(聖歌)は、こんなホモフォニックではありません。
さて、ヒルデガルドの曲を、当時の教会音楽のグレゴリオ聖歌と比べてみましょう。
グレゴリオ聖歌は、正格旋法と変格旋法という、1オクターブ内での決まった音階に基づく音楽です。一方のヒルデガルドの音楽は、第一に、2オクターブ半を越えます。これは、修道女といえども、よほど鍛えられた修道女もしくは、何人かで部分部分を受け持つ方法でしか歌えないでしょう。第二には、上に書いた教会旋法を使っていないことです。ヒルデガルドは「誰にも音楽を教わってないが、新しい音楽を生み出した。」と、神の啓示があったかのように言っていますが、話半分としても、まんざら嘘ではないような気がします。ヒルデガルドの音楽には、現代の我々にとって親しみのある、長調とか短調をイメージさせる音、ハーモニーが登場します。長三度、短三度の響きです。これらの響きは、ルネサンス初期まで、心地よくない響きとされていました。だから初期のオルガヌムも、4度、5度が使われたのですね。まさに西洋音楽の先駆者であったわけで、音楽史において重要な位置を占める人だと思います。彼女は作曲家ではなく、おそらく片手間でこれを成し遂げてしまったのでしょうね。
上にも書きましたが、9世紀にやっとオルガヌム声部と呼ばれる単音以外の音が登場しました。しかし、当時の音楽は、グレゴリオ聖歌に、もう一つの旋律(声部)を加えていたわけで、ビンゲンのような、新しい旋律というのは、まさに画期的だったことと思います。ビンゲンの生きた12世紀には、このオルガヌムが発展し、装飾音的な煌びやかな音楽がもてはやされたようです。その装飾的旋律を、メリスマ・オルガヌムと呼びます。
しかしながら、この時代の音楽は楽譜をして残っていなかったりで闇に包まれており、はっきりとしたことは言えない・・・というのが実情のようです。
そこにロマンを感じるわけですね。縄文だとか、邪馬台国だとかに通じます。(^-^ )
1~4曲目の楽譜はCPDLから拝借しました。
5~9曲目の楽譜はfree-score.comから拝借しました。
Papalinの多重録音で、お聴き下さい。m(_ _)m
曲目と楽器編成
1. Item de virginibus T&B
2. O Virtus Sapientiae B
3. O Virtus Sapientiae by Cheryl Lynn Helm (SSAA ver.) T・B・B・B
4. O Virtus Sapientiae by Cheryl Lynn Helm (SATB ver.) S・A・T・B
5. O felix anima (arranged for TB) T・B
6. Sed Diabolus (arranged for SA) S・A
7. Et ideo puellae (arranged for SAA&TTB) S・A・A ⇒ T・T・B
8. O felix anima (arranged for SATB) S・A・T・B
9. Cartas abundat (arranged for SATB&SATB) (S・A・T・B)×2
使用楽器
ソプラノ 竹山(メイプル 415Hz)
アルト 鈴木(ボックスウッド 415Hz)
テナー 竹山(メイプル 415Hz)
バス ヤマハ(メイプル 415Hz)
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この記事へのコメント
1年ほど前に名倉亜矢子さんが歌う『Ave Generosa』を聴き、
いいな~と思っていました。リクエストしたいのですが、楽譜が見当たりません。
yuriさん、ありがとうございます。
この時代の人には、神さまはニ物も三物も与えたようです。人間はみは平等であるなんていう考え方の存在しない時代だったようですね。
Ave Generosaですが、ネットで聴きました。素晴しい曲です。この手の曲が素晴しいと思うようになれば、立派なオタクですよ。
でもって、ネットでに譜が公開されていないか、私も調べてみました。そして、あるサイトに行ったときだと思うのですが、思いっきりウィルスにやられて、IEが立ち上がらなくなり、泣く泣く、誘導されるがままに、ワクチンソフトを買っていまやっと復帰しました。$80は高いよなぁ。
。・°°・(;>_<;)・°°・。
一種異様とも言える詠唱のようなメロディーと飛翔する音、およそ1000年も昔の音楽と現代の音楽が、全く違和感なく溶け合って一つの宇宙のような音楽世界をつくりあげていました。以来何枚もヒルディガルドのCD(演奏はみなセクエンツィアによるものです)を買い求めてきましたが、聴くたびに一種のショックのようなものを感じます。単純に美しいと言う言葉では説明できない、霊感というか、あえて言い変えるなら一種の「魔」のようなものを感じる演奏です。名倉亜矢子さんの歌はまだ聴いたことがありません。CDを検索してみましたが、CD化はまだなのかしら?
aosta、ありがとう。
ヒルデガルドの音楽は、コンサートホールのような明るいところで聴くようなものではなく、まさに修道院のような薄暗くて、かつ残響に優れるところで聴くべきでしょうね。僕もそのCDを昨日聴かせてもらいましたが、なかなか雰囲気のある演奏だったと思います。
おはようございます。
ビンゲン、お買い上げ下さいましてありがとうございました(笑)。
セクエンツィア、とてもいいですよね。ちょっと癖になりそうな音楽です。
>時を超越しているような存在・・・
また新しいCDを紹介するのは気が引けるのですが、URL添付いたしましたので、よろしければ
すみません。リンクがうまくいっていないようです。
リチャー・ドサウザーのアレンジによるヒルデガルドのタイトルは”VISION"。
Angelです。
たこすけさん、ありがとうございます。
良いCDをお買い上げなさいましたね。
この時代の音楽は、他のものとは明らかに違うのですが、不思議なことに、ルネサンスやバロックやロマン派ではなくて、20世紀の音楽に通じるものがあるように感じます。ヒルデガルドの曲を、シンセサーザーなどの現代楽器で伴奏しているのを聴いても、殆ど違和感なく受け入れてしまいます。
aosta、ありがとう。
いつからCD販売店の売り子(もとい、売り婆)になったんだ?
(o^<^)o クスッ
aosta、ありがとう。
amazonのURLは長いので、上手くいかないことがあるね。