◆IL DIVO◆ ダンスタブル作品

≪生演奏を公開しています≫

画像
Dunstable(1390-1453) works
URL : http://papalin.yas.mu/W036/

  ◇公開日: 2011年4月21日
  ◇演奏時間: 14分15秒
  ◆録音日: 2011年4月 (50歳)
   上のアルファベットの曲目名を
    クリックして、Papalinの音楽サイト
    からお聴き下さい。(視聴?・試聴?)



幼なじみの同級生が死んだ。

昨日の朝刊が、交通事故を伝えていた。
変則的な交差点で右折する10トントラックに、
自転車に乗った女性が巻き込まれたと・・・。
名前は同級生と同じ、年齢は50歳。
嫌な予感がした。

昨日、ジェルソミーナ(同級生)に問合せのメールを入れた。
待てども、返事がない。嫌な予感がした。
返事は今朝あった。たったの一行だけ。

  Papalin 「まさか、別の人だよね。」
  ジェル  「本人らしい。」

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昨日、Bein'greenさんのブック・レビューを読んだ。
『楽史を変えた五つの発明』
五つの発明とは、楽譜・オペラ・平均律・ピアノ・録音技術のようだ。

Bein'greenさんの文章中に、興味を引くところがあった。
「イギリスのダンスタブルが初めて伝統的な宗教曲に
 三度の音程を持ち込んだのは初めて知った。」

ダンスタブルという作曲家に興味を抱いた。
エオリアンさんのところなら楽譜があるだろうと探したが、何故かない。

ネットで調べてみた。
中世の音楽から、ルネサンス音楽への橋渡しをしたイギリス人らしい。
私はダンスタブル(または、ダンスタプル)という作曲家を知らなかった。
ましてや彼の曲は聴いたことがないと思う。

早速、お気に入りのパブリック楽譜サイトで、楽譜を探した。
IMSPLには、ハ音記号で書かれた楽譜が載っていた。
Choral Wikiには、ト音記号とヘ音記号で書かれた楽譜が。後者を選んだ。
目的は、中世音楽からルネサンス音楽への橋渡しをしたという作曲家の
曲を知ることである。リスクを伴うハ音記号の楽譜で演奏する必要はない。

入手できた5曲の楽譜を印刷した。
譜読みする時間も惜しみ、ルネサンス・リコーダーで音を重ねてみた。

確かに3度が使われている。これは中世の音楽にはない響き。
一方で、5度の終止形や、途中の節回しなどは、
マショーの曲などで耳にする中世(14世紀)の音楽そのものだ。
つまり、ダンスタブルの曲には、後の世の人が分類した
中世音楽とルネサンス音楽が同居していた。

ダンスタブルの音楽は、初期ルネサンス音楽作品として分類されても
いいかも知れない・・・と、演奏をしてみて感じたのである。

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さて、グリーグの音楽にハマりきっている私に、ichiさんからメールが届いた。
相手をよく見てから、もらったコメントに返事をしなさい・・・という叱咤と、
長ったらしい返事を書く時間があったら、新しい楽器を可愛がれという激励。

ダンスタブルはイギリスの作曲家、中世から初期ルネサンスの作曲家。
この二つのキーワードは、ichiさんの琴線に触れること間違いなし。
ちなみに、演奏した曲は全て声楽曲である。

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モーレンハウエルのルネサンス・リコーダー(キンゼカー・モデル)を使った。
結論からいうと、この4本セットは非常に厄介だ。
5曲目の「聖霊来たりたまえ」が有名な曲らしいが、音程がとれずに難儀した。
とてもいい曲だと思うのだが、演奏がひどくて申し訳ないと素直に思う。

使った楽器たち、どれもまともなフィンガリングでは太刀打ちできない。
フラット系の曲なら何とか使えそうかなと感じた。(5曲目はシャープ1個だった)
ハ長調も含めたシャープ系は、とてもぢゃないけれど、正しい音程が取れない。
バロック・リコーダーのホールの直径の2倍もありそうなホールを、
どれだけ塞いだらいいのか、またそれを確率100%で再現できる自信がない。
アルトリコーダーの2オクターブ目のAやHは最悪。Bならいいのに・・・。
本当に申し訳ない。

とういうことで、★は甘めにつけて3つ。(4曲目がまぁまぁだったので)
申し訳ない。m(_ _)m

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奇しくも、前日には、ペール・ギュント第1組曲の「オーゼの死」を演奏した。
そういうときに、予期せぬ不幸が訪れることがあった。これで4回目だ。

今日一日、ボーっとしていた。

彼女を巻き込んだダンプの運転手は、事故に気づかずに、
自転車を車の下に孕んだまま、数kmも走ったらしい。
彼女は300mも引きずられて、命を尽きた。
何とも痛ましい。やりきれない。想像するだけで悪寒がする。

サバサバした男のような性格だった。
友達にもつには、ジェルと共に、最高の彼女だった。
ジェルにとっては、保育園から高校までずっと一緒だった親友。
私の気持ちよりも、ジェルのことが心配な一日でもあった。


安らかに・・・は無理だろうけれど、彼女の尽きた命を弔いたい。



楽譜は、Choral Wikiから借りました。


Papalinの多重録音で、お聴き下さい。m(_ _)m



曲目と楽器編成

   1. お前は何と美しく、輝かしい   A・T・B
   2. 聖なるマリアよ           A・T・T
   3. 美しくあれ              A・T・T
   4. 私は園に下り            S・A・T・B
   5. 聖霊来たりたまえ          A・T・T・B



使用楽器 (440Hz)

    ソプラノ    モーレンハウエル   キンゼカー・ルネサンス・モデル
    アルト     モーレンハウエル   キンゼカー・ルネサンス・モデル
    テナー     モーレンハウエル   キンゼカー・ルネサンス・モデル
    バス      モーレンハウエル   キンゼカー・ルネサンス・モデル





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この記事へのコメント

ichi
2011年04月21日 22:38
ジェルソミーナさんは直接の面識はありませんが、このブログではお馴染みなのでなんともやりきれない気持ちです。そうっだんですか・・・謹んでお悔み申し上げます。数日前に小学生の列にクレーンが突っ込んだ痛ましい事故がありましたが、ここのところ暗いニュースばかりが目に付きます。
さて、ダンスタブル・・・初めて聴きます。個人的には、早くキンゼカーを使いこなして、Wバードのミサ曲をやって欲しいと思っております。yasさんが3声、4声、5声の楽譜・・・うわっ地震だ!!
beingreen
2011年04月22日 05:26
お友達の方、本当に残念なことですね。ご冥福をお祈りします。
ダンスタブル、ヒリヤードアンサンブルのCD学生時代にCDを買いました。曲は覚えていないのに、CDショップに「雑音が入っているから変えてくれ」ってクレームをつけたのを覚えています。本を読んでダンスタブルにいきあたった時真っ先にそのことを思い出しました(編集の時に入った音でCD変えても関係なかったんですが(笑))。

ルネサンスモデルの演奏、とてもいい響きですね。音楽もとても活き活き流れていると思います。
2011年04月22日 06:59
◆◆ なんともやりきれない気持ちです。

ichiさん、お悔やみをありがとうございました。
色んな死に方がありますが、交通事故の被害者としての死は
いたたまれないです。

しばらく前に、中世の音楽にもはまりました。そのときに、中世の音楽は、感情的なものではなく、数学的なもの、計算されたものであったということに、納得させられました。このダンスタブルの音楽も、当然それを引き継いではいるのですが、ヨーロッパの大陸ではない、イギリスという島国と、その作曲家の力が、こうして大陸にルネサンス音楽をもたらせたと思うと、もっともっと評価されていい作曲家のように思います。

ダンスタブルについて、詳しく書かれているブログがありましたので、右のURL欄に貼っておきます。
 
バードはそのうちに。でも、下記はネックだなぁ。(^_^;)
> 早くキンゼカーを使いこなして、

地震、震度4だったでしょう? 大丈夫でしたか?
Papalin
2011年04月22日 07:08
◆◆ ヒリヤードアンサンブルのCD・・・

beingreenさん、お悔やみも戴き、ありがとうございました。

こうしてお友達から情報を戴いて、音楽に関する知識とレパートリーが増えることは、何よりも増して嬉しいことです。感謝します。

ヒリヤードアンサンブル、いいですね。私もお気に入りです。ダンスタブルについてネットで調べている中で、ご紹介のCDの評価がかなり高いことも知りました。聴いてみたいと思いました。

使ったキンゼカー・モデルの楽器は、私にはかなり難しかったです。全ての面で整うように改良されたバロック・モデルのリコーダーが、如何に画期的なものなのかを、逆に知るところとなりました。

でも、あのモコッとした感じの柔らかい音は、
バロック・リコーダーにはないですね。(^-^ )
Gelsomina
2011年04月22日 10:07
何かの映画の台詞でね

殆どの別れは突然やってくる。
その時はそれと気付かずに何気なく別れ、後になって「ああ、あの時がサヨナラの時だったんだ」と思い返す・・・・。

彼女との別れは1年ほど前。
本当に久しぶりに電話が掛かって来て、最後に「また電話するね」と電話を切った時。

顔を見たのは10数年前。
良く晴れた気持ちの良い日曜日に、彼女のお母さんがやっていたラーメン屋さんを訪ねた時。
店の奥から冷たいオレンジジュースを手に「久しぶり」と言いながら出て来て、まだ小さかったうちの娘に「ほら、飲みな」とグラスに注いでくれた彼女が私の記憶の中の最後の姿。

少し複雑な環境で暮らしていた彼女とはなかなか会う機会がなく、同級生が集まる時には必ず話題にしながらも余り会う事が叶わなかった彼女。

あの頃・・・・何でもキラキラと輝いて見えていたあの頃には、人生の最後がこんな形で終わるなんてまるで想像しなかった。

胸が痛みます。
Papalin
2011年04月22日 19:45
◆◆ 「久しぶり」と言いながら出て来て、うちの娘に「ほら、飲みな」と・・・

Gelsominaさん、ありがとうございます。
その光景が目に浮かびます。
そういう気取りのない、いつでもピュアな彼女だったよな。

僕が彼女と最後に会ったのはいつだろう。
やっぱりそのぐらい前だったように思う。
彼女はまだ東京にいた頃で、眩しかったなぁ。
こちらに帰って来ていたとは知らなかったよ。

ショートカットの髪に、中学のセーラー服が似合ってた。
僕の記憶の中では、そのときのままだよ。

ニックネームは・・・ノリシ・・・だった。
ダンプとなんか勝負するなよ、大馬鹿野郎!

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