◆IL DIVO◆ フローベルガー / リチェルカーレ
≪生演奏を公開しています≫
Johann Jacob Froberger (1616-1667) / Ricercares
URL : http://papalin.yas.mu/W185/
◇公開日: 2011年4月25日
◇演奏時間: 53分20秒
◆録音日: 2011年4月 (50歳)
上のアルファベットの曲目名を
クリックして、Papalinの音楽サイト
からお聴き下さい。(視聴?・試聴?)
ネットのお友達のブログで、フローベルガーという
ドイツの初期バロック作曲家の名前を知りました。
興味を持ちましたと伝えましたら、お返事を戴きました。
フローベルガーとかブクステフーデはちょうどアーリー・バロックからバッハ等の後期バロックへの橋渡し的というか、典型的17世紀バロックと言っていいのか、なかなか良いものです。
フローベルガーは、今回調べて知りましたが、ドイツからイタリアに行ってフレスコバルディに師事しているのです。フレスコバルディの弟子、そしてドイツに戻ってバッハに影響を与えた、というまさにそういう感じ・・・。
早速、ネットで楽譜を探しました。そして私が最初に取り上げましたのは、前時代的音楽であるリチェルカーレです。リチェルカーレはルネサンス時代の産物で、いわばフーガです。リチェルカーレの大家と言えば、対位法の神さま、フレスコバルディです。その教えを請うた人が、一体どんなリチェルカーレを聴かせてくれるのか(自分で演奏して聴くのですが・・・)、非常に興味がありました。
恐らくオルガンで弾いたのだと思います。なぜなら、チェンバロでは小節をいくつもまたがる持続音が表現できないででしょうから。そう、用いた楽譜は(というか原曲が)鍵盤用の楽譜です。ところがこれまた綺麗に4声で書かれているのですね。バッハもそうですが、この頃の多声音楽は、声部に沿って楽譜が書かれていますので、私たち管楽器を嗜む者にとっては非常に好都合です。しかも、音域がS・A・T・Bのリコーダー・コンソートに持って来いなのですね。狭い音域で、うまいこと作曲したものです。演奏した感じは、ルネサンスの香り満ち溢れる初期バロック音楽・・・という感じです。3曲とも緩急のメリハリがあって、好印象です。(^-^ )
折りしも、ルネサンス・リコーダーが休養に入りましたので、暫く構ってやってない、バロック・ピッチ(415Hz)の楽器を登場させることにしました。まるで、アイスホッケーの総入れ替えみたいです。
もう1、2曲演奏してみたいところですが、何はとまれフローベルガー、お聴き下さい。
そうそう、3曲演奏したところで、このシリーズはバロックピッチの楽器で演奏するのがいいのだろうかと、ちょっと迷いました。90%はルネサンス音楽じゃんと思ったのですが、結論はそれで良しなのです。元よりルネサンス・リコーダーは、養生のためにドック入りしてます。モダンピッチの楽器での演奏をするなら、久しく休んでいた(ドックに入っていた)このバロックピッチの楽器を登場させるべきでしょう・・・そう思いました。響きが若干硬いのですが、それも良しとしましょう。
13、14番は、フローベルガーの作品かどうか、疑わしいようです。確かに、演奏してみると、作風が他の12曲とはちょっと異なるなぁと思いました。でも、そう言われないと気づかないかも知れません。
12番が、なかなか面白かったです。
もう一つ、過激なことを感じたままに書かせてもらうなら、バッハのコントラプンクトゥスより、このリチェルカーレの方が好感が持てました。バッハは計算尺を左手にもって、右手のペンを走らせて作曲している感じがありますが、フローベルガーの方は、計算尺を懐に忍ばせてはいるものの、創造的・芸術的な閃きと共に作曲したのではないかと感じました。一つひとつの短い曲の中に緩急、すなわちドラマ、ストーリーがあって、ご丁寧に再現部があるってのが憎いですね。(^-^ )
楽譜は、IMSLPから借りました。
Papalinの多重録音で、お聴き下さい。m(_ _)m
曲目と楽器編成
1. S・A・T・B
2. S・A・T・B
3. A・A・B・B
4. S・A・T・B
5. S・A・T・B
6. T・B・GB・CB
7. A・T・B・GB
8. S・A・T・B
9. S・A・T・B(GB)
10. A・A・T・B
11. T・B・GB・CB
12. S・A・T・B
13. A・A・T・B (真作か疑わしい)
14. S・A・T・B (真作か疑わしい)
使用楽器 (415Hz)
ソプラノ 竹山 メイプル
アルト 鈴木 ボックスウッド
テナー 竹山 メイプル
バス ヤマハ メイプル
グレートバス キュング メイプル(440Hz)
コントラバス キュング メイプル(440Hz)
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この記事へのコメント
クープさん、ありがとうございます。
そうです、フローベルガーを私に教えて下さったのは、
何を隠そう、クープさんでした。(^-^ )
リチェルカーレは、フローベルガーの作品の中では、ひょっとしたら習作に近い部類のものかもしれませんね。トッカータや組曲(何と、アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグという組曲の創始者だとか)が有名なようです。しかし、このリチェルカーレも示唆に富んでいると思います。
たった今、4番と5番を演奏してみたのですが、4番ではモーツァルトの交響曲第41番のモチーフが、また5番では、バッハのコントラプンクトのモチーフが聴こえました。18世紀になっても彼の音楽は演奏され、学ばれていたということなので、バッハやモーツァルトも、当然このリチェルカーレを知っていたのでしょうね。発見でした。
くーぷさん、ありがとうございます。
そうして入手した楽譜、今では考えられないほど、貴重なものだったのでしょうね。今はこうしてネットで世界中から楽譜を入手することができますし、古楽やクラシック関係だと、フリーで公開されていたり。すごいことです。
最近は楽譜の購入予算が、紙とプリンタのインク代に変わって来ました。