◆IL DIVO◆ シューベルト / 歌曲集 『冬の旅』 (第一部)

≪生演奏を公開しています≫

画像
Franz Schubert / Winterreise D911 Op.89 (Erste Abteilung)
URL : http://papalin.yas.mu/W908/


  ◇公開日: 2011年12月4日
  ◇演奏時間: 25分13秒(途中まで)
  ◇録音年月: 2011年12月 (50歳)
   上のアルファベットの曲目名を
    クリックして、Papalinの音楽サイト
    からお聴き下さい。(視聴?・試聴?)



ブックオフに、中声用の楽譜がありました。ベーレンラーターから許可をとって全音が販売している楽譜です。
何と1979年の初版でした。定価は900円。それが105円で売られています。折り目もない新古品です。
高声用(原調)の同じ楽譜を持っていますが、中声用がどう移調されているのか興味があり、買いました。

高声用と中声用は、一般的には短3度もしくは長3度の差があるものだと思い込んでいましたが、この『冬の旅』の楽譜は、大抵の曲が長2度の差で、短3度下げた曲がわずかにありました。つまり第1曲ですと、高声用(原調)が二短調であるのに対して、中声用はハ短調となっています。たった1音(長2度)しか違わないではないか、ということなのですが、実際にはこの1音の違いが大きな意味をもつのだと思います。

歌い手一人ひとりの声域や声の響きの違いもあるでしょうけれど、私にはピアノの響きが大きく異なると感じます。ピアノの音は、ただ単に平行移動として調が変わるのではなく、各調に独特の響きがあるように感じています。前述の長2度と短3度の下げ方の違いも、これに似た理由で選択されていると思います。調の性格をできるだけ維持する、すなわち♭系の曲は、移調しても♭系の調を選ぶ・・・ということでしょう。ただし、こうした一連の歌曲集として、曲と曲の間の調性の関係が密な場合は、そのことをより重視して移調されるべきでしょう。(原調の楽譜と移調された楽譜の両方を見るというのも勉強になりますね。これは想定外でした。)

一方、私はピアノ伴奏ではなく、リコーダーの多重録音によるアンサンブルを伴奏としています。ピアノと比べてどうなのだ、ということですが、私はリコーダー・アンサンブルにも、調による響きの違いを感じています。その一つの理由と考えていることです。#や♭の記号のついている音は、クロス・フィンガリングといって、指で塞がない穴の、その下にある穴をいくつか塞いで音を出すのですが、その音は、通常の指遣いの音に比べますと違いがあります。♯や♭の数が多くなればなるほど、響きは若干ですが抑えられていくために、その音色は角がとれた穏やかな音、時にくぐもった感じの音で占められていくことになります。私はその響きを内省的な音楽の表現に適したものと感じています。指遣いが大変になることは仕方ありませんが、それと引き替えに得られるものの方が大きいように感じています。


さて、シューベルトの『冬の旅』は、シューマンの『詩人の恋』と共に、近年になってからですが歌ってみたいと思う作品になりました。全部で24曲あります。挑戦してみたいと思っています。



楽譜は、こちらを使います。



Papalinの多重録音でお聴き下さい。m(_ _)m



曲目

 第1部 Erste Abteilung

    1. おやすみ Gute Nacht
    2. 風見の旗 Die Wetterfahne
    3. 凍った涙 Gefrorne Tränen
    4. 凍結 Erstarrung
    5. 菩提樹 Der Lindenbaum
    6. 溢れる涙 Wasserflut
    7. 流れの上で Auf dem Flusse
    8. 回顧 Rückblick
    9. 鬼火 Irrlicht
   10. 休息 Rast
   11. 春の夢 Frühlingstraum
   12. 孤独 Einsamkeit



伴奏 (リコーダー・アンサンブル)

   ソプラノ     モーレンハウエル(グラナディラ)
   アルト      メック(オリーブ)
   テナー      全音(チェリー)
   バス       ヤマハ(メイプル)
   グレートバス  キュング(メイプル)
   コントラバス   キュング(メイプル)



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この記事へのコメント

ichi
2011年12月07日 12:24
冬の旅といえば、高校生の時にたまたま家にあった立原正秋の同名の小説を読んで、大いに落ち込んだことを思い出します。音楽については初めて聴くといっていいでしょう。情景が浮かんでくるような音なので初めてでもとっつきやすいですね!山の中で録音している情景を思うといっそう冬の空気を感じます。それはそうと、シューベルト歌曲全集第一部に使っている写真は最近のものですか?少しやせましたか?ボクは太ってきていて、どうするの?そのお腹!!としょっちゅう言われています。年末年始をカロリーを抑えてなんとか乗り切らないと・・・
2011年12月08日 06:19
「菩提樹」これ一曲だけを単独で聞いた時と印象がかなり違いますね。
第一部前半のモノクロームの世界の中で唯一、色を感じる曲です。
郷愁の中に安らいでいる菩提樹の木陰は優しく物悲しく旅人を過去へと誘うのですね。
「冬の旅」と言えば、実家にあったゲルハルト・ヒッシュの歌う、強い巻き舌のSP盤、モノクロしか知りませんでしたので、後年、シュライヤーで聴いた時は、目から鱗!!でした。巻き舌葉ともかく、この曲集はやはりテノールだと思います。
個人的にはプレガルティエンがベスト!と思っています。

立原正秋、なぜか昨夜の夢の中で古書店の本棚にずらり並んでいましたよ(笑)。
ichiさんが仰るように、少々厭世的でセンティメントな作品が多いような気がしてあまり読んだ記憶はないのですが、著書に「冬」がついた題名が多かったような気がします。
P氏を筆頭に、三人でダイエット、頑張りましょう。
ichi
2011年12月08日 08:59
3人めは誰だか?ボクには見当もつきませんが・・・そんな食いしん坊は居たっけか!?
 ・・・あっごめん!!↑これaostaさんのコメントだったのね。
2011年12月10日 09:46
◆◆ 情景が浮かんでくるような音なので初めてでもとっつきやすい

ichiさん、ありがとうございます。
ミューラーの詩の翻訳は、右のURLにあります。直訳に近い素直な訳だと思います。『冬の旅』は、1曲目から失恋がテーマです。もっとも主人公の青年は、令嬢に恋をするような"身分"ではなかったようで、単なる片思いのお話の情景描写らしいですけれど。

そうですね、やっぱり冬に歌うのが良さそうです。ペーター・シュライヤーが引退コンサートとして5年前に岡谷カノラホールに来たときも、確か晩秋の寒い日でした。

> 写真は最近のものですか?少しやせましたか?

10月のものです。これは撮影の角度によるものと思われ、それ以上はコメントしたくないほど、豊満です。(^_^;)
Papalin
2011年12月10日 09:51
◆◆ 巻き舌はともかく、この曲集はやはりテノールだと思います。

aosta、ありがとう。
シューベルトの原調で歌っていますが、音域的にはテノールでしょう。声の響きとしても、ハイ・バリトンよりもテノールの方が曲に合っているような気がします。シューベルト以降のオペラもそうですが、格好悪い、情けない役は、テノールがよく似合うのです。(^_^;)

本を殆ど読まなかった若い頃でしたから、立原正秋も全く知りません。ichiさんと話が弾みそうで良かったね。(^-^ )
Papalin
2011年12月10日 09:58
◆◆ そんな食いしん坊は居たっけか!?

ichiさん、ありがとうございます。
その話題には触れないことに致しましょう。

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