◆IL DIVO◆ 近藤浩平 / 女声合唱とピアノの為の組曲 「音叉の秋」

≪生演奏を公開しています≫

画像
Suite "A tuning fork in autumn" for female chorus and piano Op.104 / Morinaga Kazuko & Kondo Kohei
URL : http://papalin.yas.mu/W302/#M031

  ◇公開日: 2012年1月9日
  ◇演奏時間: 17分6秒
  ◇録音年月: 2012年1月 (50歳)
   上のアルファベットの曲目名を
    クリックして、Papalinの音楽サイト
    からお聴き下さい。(視聴?・試聴?)



近藤さんの音楽を、もう少し知りたいと思って
サイトをサーフィンしていましたら、
合唱曲の楽譜が公開されていました。

「山の作曲家」は、一体どんな合唱曲を作られるのでしょう。
ちなみに曲は、女声合唱曲でしたが、最近のPapalinは、
混声合唱よりも同声合唱の方に目が行っていますので、
歌うには全く問題なさそうです。


歌ってみました。

近藤さんらしさというか、ほぼ想像していた音が鳴り響きました。こういう雰囲気の曲は、歌っている最中に感動するとか、感極まるといったタイプではありません。歌ってから何度も聴いていますと、曲に対するイメージが徐々に膨らんで醸造されていく・・・そんな感じを抱いています。Papalinの場合は、曲を知るために歌ってみる(演奏してみる)ので、ミックスダウンをしてから何回も聴くことが重要なのです。


テキスト。森永かず子さんの詩を使われています。
正直言いますと、森永さんの詩には、一般的に合唱曲を作曲される方が好むような、あるいは詩を読んでいっぺんで心を持っていかれるような、即席的感動要素は感じませんでした。近藤さんが組曲として取り上げている一連の詩「音叉の秋」(この言葉と感性は素晴しいと思いました)について私が感じたのは、主人公の有機的な感動はなく、むしろ目の前の秋の風景を、ある距離を置いて見つめる、殆ど表情のない人間の顔、眼差し・・・でした。例えば「地図」という曲もそう。乳牛の体のまだら模様を見て、主人公は感じているのですが、それを表情には出さずに能面のような顔をしながら考えている・・・そんな情景が思い浮かびました。一連の詩を読んだときに、近藤さんが合唱曲としてどこをどう音楽的に盛り上げて行かれるのか興味深く、また一方では心配でもありました。

当初はそんな風に感じていた(先入観を抱いていた)のですが、歌ってから何度かそれを聴いていく中で、その心配は無用だったなと思うようになりました。近藤さんの「自然を音に表現する」という音楽には、この森永さんの詩はもっとも合致するのではないかと思うようになりました。元より詩人は音楽になることを前提に詩を書いているのではないでしょう。作曲家が詩人の詩に心を揺らされ、音楽に仕立てる・・・これが新たな芸術誕生のシナリオでしょう。後に読ませて戴いた近藤さんのブログに、この曲に関する作曲者の解説が書かれていました。「ホルストやラッブラの合唱曲をさらに現代化したような和声と、日本語の詩を生かした曲。ホルストやヴォーン=ウィリアムスなどイギリス近代の合唱曲が得意な合唱団には向いていると思います。」 ラッブラという作曲家の曲は存知ませんが、なるほど、イギリス近代でしたか。森永さんの詩と近藤さんの曲が相乗効果を生んで新たな芸術が誕生したのでしょう。


そうした評論家めいたことはさて置き、今度は当事者として実際にこの組曲を歌ってみますと、それは難儀でした。とにかくソルフェージュ(音を取ること)が大変でした。当たり前といえば当たり前のことなのですが、この組曲は、ピアノのパートには答えがない・・・つまり、ピアノの伴奏の音とは全く異なる音を歌わせます。しかも頻繁に。そういう難しさとは別に、もう一つの難しさがありました。それは、他の作曲家の作品のような、ある意味で必要悪とも思えるような盛り沢山の表情記号も殆どなく、最小限に留められていると感じました。実際にどう歌うか、どう表現するかは演奏者たち --- ここでは私一人ですが --- に委ねられていると感じました。でも作曲者にしてみましたら、それは必要十分な記号であって、それ以上は何もしてくれるなということかも知れませんね。合唱指揮者や歌い手の腕のみせどころ、解釈のしどころかも知れません。

もう一つは、私がテノール(男声の高い声)ということもありますが、実は女声合唱のアルト・パートの音は、男声合唱のバス・パート以上に大変なのです。その理由は、低い音域でメロディが歌われることが多いように思います。これはアルトの太い声がやっぱり相応しいですね。男声のバスだと、どうしてもくぐもってしまって、言葉が上手く聞き取れないかもしれません。


いずれにしても、聴き込んでいくごとに引き込まれていく・・・そんな感じがします。最終曲である「雪」で、"音叉"が再登場します。組曲に限らず、ソナタ形式をとる楽曲としては定番の手法かも知れませんが、難しい音楽の中であって、ちょっとホッとする場面でもありました。

女声合唱での初演が待ち望まれますね。




楽譜は、近藤さんのホームページから借用しました。(リンク先のPDFは 14MBあります)



Papalinの多重録音で、お聴き下さい。m(_ _)m



曲目

   1. 音叉の秋
   2. 紅葉狩り
   3. さびていく秋
   4. 楽園
   5. 地図
   6. 雪


使用楽器 (440Hz)

    ソプラニーノ    キュング        ローズウッド
    ソプラノ       モーレンハウエル   グラナディラ
    アルト        メック          オリーブ
    テナー       全音          チェリー
    バス         ヤマハ         メイプル
    グレートバス    キュング        メイプル
    コントラバス    キュング        メイプル





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