◆IL DIVO◆ リュリ / 歌劇「アルミード」 LWV.71

≪毎日がコンサートの本番です≫

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"Jean-Baptiste Lully (1632-1687) / Armide LWV.71 (1686) [Prologue+5acts]
URL : http://papalin.yas.mu/W256/#M171


  ◇公開日: 2012年8月11日
  ◇演奏時間: 29分30秒 (抜粋)
  ◇録音年月: 2012年8月 (51歳)
    上のアルファベットの曲目名をクリックして、
    Papalinの音楽室でお聴き下さい。(視聴・試聴)



お友達が練習しているのは、リュリの歌劇「アルミード」の中の"パッサカイユ"とのことでした。

リュリの若い頃の作品であるバレエ「衣装転売」で気を良くしたので、その乗りで歌劇「アルミード」も演奏してみました。パッサカイユだけでは面白くないので、せめて序曲と終曲くらいは・・・というつもりでいましたが、5重奏が楽しめそうな曲を選んで演奏しましたら、結局11曲になってしまいました。そうなったのには実はちょっとした理由があります。使った楽譜に関してです。まずは下の楽譜をご覧下さい。

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【 パッサカイユの冒頭部分 】



★最上部のパートは見慣れたト音記号ではありますが、ト音(以下、G)を示す位置が、第2線ではなく、第1線にあります。これは「フレンチヴァイオリン記号」と呼ばれるもので、バロック時代に使われました。普通の第2線がGとなるト音記号よりも高い音が表記できるため、アルト・リコーダー用の楽譜で使われたようです。バッハのブランデンブルク協奏曲の自筆総譜も、この表記が用いられています。

★★上から2番目のパートは第1線がハ音(以下、C)となるハ音記号で、「ソプラノ記号」と呼ばれます。凡そバロック音楽までの期間、その名の通りソプラノのパートに用いられたものです。現代のバッハの鍵盤用の楽譜でト音記号になっているところはほぼこの音部記号が使われています。

★★★真ん中のパートは第2線がCとなるハ音記号で、「メッゾソプラノ記号」と呼ばれます。女声のメッゾソプラノのパートに用いられました。

★★★★下から2番目のパートは第3線がCとなるハ音記号で、「アルト記号」と呼ばれます。女声のアルト用に使われたもので、弦楽器のヴィオラや、アルト・トオンボーンなどでも、この音部記号が用いられます。ちなみに第4線がCとなるのが「テナー記号」、第5線だと「バリトン記号」となります。

★★★★★最下部のパートは見慣れたヘ音記号です。



というわけで、演奏するのに手こずりました。しかしこの楽譜からリコーダー・アンサンブル用の楽譜を起こす手間を考えますと、慣れるのが一番です。この楽譜のまま演奏できるに越したことはありません。というわけで、この楽譜を実音でリコーダーで演奏する場合のPapalin流演奏法です。



★:アルト・リコーダーで、ヘ音記号だと思って演奏します。
★★:テナー・リコーダーで、ト音記号だと思って、長3度下の音を演奏します。
★★★:バス・リコーダーで、ト音記号だと思って、テナー・リコーダー(C管)を持っていると思って演奏します。
★★★★:グレートバス・リコーダーで、ト音記号だと思って、長2度上の音を演奏します。
★★★★★:コントラバス・リコーダーで、ああ楽チンだなぁと感動しながら演奏します。

☆「テナー記号」の場合は、グレートバス・リコーダーで、ト音記号だと思って演奏します。
☆「バリトン記号」の場合は、コントラバス・リコーダーで、ヘ音記号だと思って短3度上の音を演奏します。



頭で変換しなくてはならない表記においては、いずれも#や♭、♮等の調号や臨時記号に気をつけないといけません。こうして変換をしながら次々とパートを変遷して演奏するのですが、私の多重録音の場合は上声部から重ねていきますので、最後のコントラバス・リコーダーに到達しますと、本当に安堵いたします。

ということで、折角馴れ親しんだ(?)読み方ですので1、2曲だけではもったいないと思って、11曲演奏してみた・・・ということでした。気に入っていますので、これからも12曲目・13曲目と増殖する予定です。


リュリの晩年の歌劇「アルミード」は、若い頃のバレエ「衣装転売」でも片鱗を覗かせていた典雅な雰囲気がより一層磨かれて、フランスの輝かしい宮廷にピッタリの作品になったと感じました。プロローグの女神と合唱によっての歌では、ルイ14世をこの上なき王と讃えています。私が親しんできたのは一部のフランス・バロック音楽で、ここで認識を新たに致しました。



楽譜は、IMSLPさんからお借りしました。
この楽譜はエオリアンによるものではありませんが、諸事情からエオリアンさんのカテゴリーに含めました。

  1. プロローグ - 序曲
    PROLOGUE - Ouverture
  2. プロローグ - 全世界が屈服するでしょう [栄光の女神と叡智の女神]
    PROLOGUE - Tout Doitceder dans l'univers a l'auguste Heros [La Gloire,La Sagesse]
  4. プロローグ - 私たちは優しい勝者が好きです [栄光の女神と叡智の女神]
    PROLOGUE - D'une egale tendresse, nous aimons le meme vainqueur [La Gloire,La Sagesse]
  6. プロローグ - アントレ
    PROLOGUE - Entree
  7. プロローグ - メヌエット
    PROLOGUE - Menuet
  8. プロローグ - ロンド
    PROLOGUE - Rondeau
  9. プロローグ - プレリュード
    PROLOGUE - Prelude
 10. プロローグ - 何も我々を別れさせることのない彼に続きましょう [栄光の女神と叡智の女神]
    PROLOGUE - Suivons notre Heros, que rien ne nous separe [La Gloire,La Sagesse]
 12. プロローグ - アントレ
    PROLOGUE - Entree
 13. プロローグ - メヌエット
    PROLOGUE - Menuet
 14. プロローグ - 思い出の殿堂に
    PROLOGUE - Que dans le temple de Memoire son nom soit pour jamais grave
 20. 第1幕 第3場 ロンド
    Acte Premier - Scene III Rondeau
 22. 第1幕 第3場 サラバンド
    Acte Premier - Scene III Sarabande
 54. 第4幕 第2場 ガヴォット
    Acte Quatrieme - Scene II Gavotte
 55. 第4幕 第2場 カナリー
    Acte Quatrieme - Scene II Canarie
 64. 第5幕 第2場 パッサカイユ
    Acte Cinquieme - Scene II Passacaille
 76. 第5幕 第5場 リトルネッロ(終曲)
    Acte Cinquieme - Scene V Ritournelle



Papalinの多重録音で、お聴き下さい。m(_ _)m



使用楽器 (A=440Hz)

   アルト       メック        オリーブ
   テナー       全音         チェリー
   バス        ヤマハ       メイプル
   グレートバス   キュング      メイプル
   コントラバス    キュング      メイプル



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この記事へのコメント

P-san
2012年08月11日 18:38
通して聴くと歌劇らしくドラマがあって彩り豊かで素敵ですね。
それにしてもハ音記号の読み替え!私は超苦手なので頭では理解した気になってもくらくらします(*o*)。
それとパッサカイユでした(^^;)。フランスですものね。
Papalin
2012年08月11日 21:46
◆◆ 通して聴くと歌劇らしくドラマがあって彩り豊かで素敵

P-san、ありがとうございます。

ショートケーキを戴いて、美味しそうなのが目の前に6つあって、さて何から戴きましょうか・・・というときに、P-sanは、一番の大好物に手を伸ばしますか? 私は・・・まずは本命を抑えます。そして対抗馬も好きだからと演説するか、あるいは貶すかして、対抗馬も抑えに入ります。

さて、アルミードは有名な歌劇です。曲はいくつもあります。どれから演奏しようか・・・ショートケーキと同じ・・・ではありませんでした。律儀に最初の序曲から演奏して行きました。お目当てのパッサカイユは後半も後半、最終幕の5幕に登場する曲ということで、曲に至るまでにたっぷりとアルミードを堪能させて戴きました。

パッサカイユは、シャコンヌと区別がつかない曲ですが、こうした短調のパッサカイユもいいですね。いかにも盛んだったフランス・バロックという気がします。そして一つ前に演奏したリュリの若い頃のバレエ音楽よりも、メロディは洗練され、ハーモニーは豊かになったように思います。

良い曲ですね。
11曲に増えました。また増えるかも知れません。(^-^ )
ichi
2012年08月21日 12:41
パッサカイユだけでは面白くないので・・・というところが、いかにもPapalinさんらしいところですが、演奏の解説を読んでいるだけで気持ち悪くなりました(笑)。川島教授もびっくりの超鬼脳トレです。そこまでして楽しいと言わしめるのは、リュリの音楽がとても新鮮に入ってきたからでしょうか?歌や台詞がなくても曲集として充分楽しめますね。

さて、Googleで、歌劇 アルミード で画像検索すると皆さんの写真が、かなり上位に出てくるので・・・これも楽しめます。
Papalin
2012年08月21日 16:32
◆◆ 演奏の解説を読んでいるだけで気持ち悪くなりました(笑)

ichiさん、ありがとうございます。
気持ち悪く・・・なるほどねぇ。私もそうなりかけました。
演奏するときは瞬きもせずに、必死です。

> そこまでして楽しいと言わしめるのは

そこまでしたのは、仕方なくです。何もこの歳になって、好き好んで、ソプラノ譜やメゾソプラノ譜なんか覚えたくないです。でも、そこまでしたのは、ト音記号とヘ音記号だけによる現代譜、もしくはヴィオラ譜だけがハ音記号で書かれた弦楽合奏譜の、どちらも見つけられなかったから、仕方なくこの楽譜を使ったということでした。

実は、頭で変換しながら演奏する場合における致命的な欠陥があるのです。それは何かというと、私は自分の持っている楽器それぞれに、独自の替え指や息の量の加減などがあります。それらは今は脳みそを通さず、楽譜と指と呼吸機能が直結して、いわば条件反射のようになっているのですが、これが読み替えだと咄嗟に機能しません。これは致命的な欠陥で、その結果どうなるかというと、美しいハーモニーにならなくなります。そういう意味で、頭の中での変換作業は確実にできるようになるだけでは片手落ちで、その次の音程調整回路にまで余裕をもって渡してあげられるように訓練が必要ということになります。

は~。(^_^;)

画像検索・・・たしかにそうですね。

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