◆IL DIVO◆ 15世紀 『セルデン写本』 から
≪毎日がコンサートの本番です≫
"The Selden Carol Book (Music of 1425-1450 England)
URL : http://papalin.yas.mu/W035
◇公開日: 2012年11月28日
◇演奏時間: 5分14秒
◇録音年月: 2012年11月
上のアルファベットの曲目名をクリックして、
Papalinの音楽室でお聴き下さい。(視聴・試聴)
中世の音楽から、ルネサンス音楽への変遷を導いたのはイタリア人でもフランス人でもなく、イギリス人であったのだと思います。一般的には、イギリス人のダンスタブルの音楽がその代表とされますが、この写本に登場する作者不詳のキャロルでも、しっかりとその特徴(長3度の響き)が表れています。
均整のとれた美しいハーモニーに代表されるルネサンス音楽の特徴でもある長調・短調の音楽、その長調の音楽を特徴づける長3度の響きが市民権を獲得したのですね。
ではどうして中世の時代にはこの長3度の響きが美しくないもの、つまり不協和音と考えられていたのでしょうか。それは私にとってはずっと疑問でした。その答えが見つかったのではありませんが、その理由の一つはこうなのではないかと思うことがあります。
器楽の発達により、中全音律という言ってみればある程度妥協をした音律が登場するまでの中世の時代の音律は、ピタゴラス音律でした。そのピタゴラス音律が原因として挙げられるのではないかと考えています。
理想的な響きを求めた、純正5度の展開によって生まれるこの音律は、長3度が美しく響きません。詳しくはWikiをご覧になると宜しいかと思いますが、純正3度はもちろん、平均律と比べてもかなりの差が生じます。この和音を聞かされたら、それは和音ではないと感じたのも頷けます。周波数が単純な整数比になったときに、最も美しく和音として響くということがよくわかります。
ただ、この考え方にはまだ疑問が残ります。というのは、中世の音楽は声楽曲が中心ですので、純正な響きで歌えたはずです。一方、こうしたオルガン曲や、のちのリュート曲のような場合、楽器を調弦・調律するために、音律が必要となります。中世の殆どのポリフォニー音楽である無伴奏の声楽曲ならば、長3度も純正に響かせることは出来たはずなのに、なぜでしょう。
ということで、私たちは美しいハーモニーで書かれた音楽は美しく響かせないといけないわけで、いくら楽しい曲であっても、それは怠ることはできません。
楽譜は、まうかめ堂さんからお借りしました。
使用楽器 (A=440Hz)
ソプラノ モーレンハウエル キンゼカー
アルト モーレンハウエル キンゼカー
テナー モーレンハウエル キンゼカー
バス モーレンハウエル キンゼカー
大太鼓 ジャンベ
小太鼓 ジャンベ
鈴 保育園で使ったアレ
鐘 仏壇から拝借
Papalinの多重録音で、お聴き下さい。m(_ _)m
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