◆IL DIVO◆ シューマン / 子供の情景 Op.15 (子供心を描いた、大人のための作品)

≪毎日がコンサートの本番です≫

画像
Robert Schumann (1810-1856) / Scenes from Childhood Op.15 (Kinderszenen)
URL : http://papalin.yas.mu/W240/#M121

 
  ◇公開日: 2013年2月27日
  ◇演奏時間: 18分19秒
  ◇録音年月: 2013年2月
    上のアルファベットの曲目名をクリックして、
    Papalinの音楽室でお聴き下さい。(視聴・試聴)




シューマンのピアノ曲集「子供の情景」 Op.15を、リコーダー・アンサンブルで演奏しました。

この曲集を演奏する前に組んでいた「子供のために」 Op.68はその名の通り、子供のために書かれた曲集(とは言っても難度は高いと思います)ですけれど、今回の「子供の情景」 Op.15はシューマンが言うところでは、子供心を描いた大人のための作品だそうです。大人になったピアの奏者が子供の頃を情景を思い浮かべて弾く曲集といったところでしょうか。ちなみに「子供のために」はシューマンが38歳の頃の作品で、「子供の情景」は28歳のときの作品です。

私はピアノのお稽古の経験は全くありませんので、こうしたピアノ曲集の演奏は、ピアノ、リコーダーを問わず、初めての経験です。ちなみにこの曲集は13曲で構成されていますが、聞き覚えのある曲は2曲でした。1曲目の「見知らぬ国と人々について」と、7曲目の「トロイメライ」です。前者は割と最近になって知った曲、後者は子供の頃に姉がピアノで弾いていたのを聴いたのがおそらく初めてだったと思います。そう言う意味では、トロイメライはまさに私にとっての「子供の情景」ですね。

ピアノ弾きではない私なのに、シューマンの作品に魅せられているのは一体何故でしょう。
その答えは、シューマンの描いた感性豊かな描写音楽の楽譜の中に潜んでいることでしょう。



楽譜は、IMSLPから借用致しました。



曲目

  1. 見知らぬ国と人々について
     Of Foreign Lands and Peoples (Von fremden Ländern und Menschen)

     何度か演奏しているお馴染みの曲です。今回は、思いっきりロマン派して演奏しました。
     後半の半ば辺りに登場するフェルマータの和音、やっと決まったかなと感じています。


  2. 不思議なお話
     A Curious Story (Kuriose Geschichte)

     明快な主題が心地よいですね。旋律は1番と同じテナーが演奏していますが、こちらは
     音がより明快な楽器(メックのオトテール・モデル)を使いました。旋律が浮き出ますね。


  3. 鬼ごっこ
     Blind Man's Bluff (Hasche-Mann)

     タイトルの情景が本当に素直に目に浮かぶ曲です。演奏するのはしんどいです。
     後半、終わり間近のグレートバス・リコーダーの半音による上昇進行、格好いいですね。


  4. おねだり
     Pleading Child (Bittendes Kind)

     子供はおねだり上手です。この曲も、そんな雰囲気を感じさせる曲です。
     最後の和音に、あえて属七の高音(G)を加えたのが、いかにも意味深だと感じました。


  5. 十分に幸せ
     Happy Enough (Glückes genug)

     十分に幸せなので、もう少しテンポアップして演奏すればよかったかなと思います。
     吹奏楽でのホルンやユーフォニアムが受け持つような、拍の裏打ちの伴奏が大変です。


  6. 重大な出来事
     An Important Event (Wichtige Begebenheit)

     重大な出来事を、私はどうしてオクターブ上げて演奏したのでしょう、謎です。(^^;
     シャープ3つのイ長調によるものでしょうか、明るい響きになりました。重大な出来事?


  7. トロイメライ(夢)
     Dreaming (Träumerei)

     知っている曲が登場すると、やおら、どう演奏しようかと邪念が入ってしまうのですが、
     今の自分に素直に演奏してみたつもりです。夢ですか、もちろん今もありますとも!


  8. 暖炉のそばで
     At the Fireside (Am Kamin)

     暖炉は暖かくない、薪ストーブの方がはるかに暖かい・・・これ、寒冷地では常識です。
     もっとも、冬の何ヶ月の間、ずっと火を絶やさなければ、暖炉も暖かいですけれど。


  9. 木馬の騎士
     Knight of the Hobbyhorse (Ritter vom Steckenpferd)

     いかにも木馬にまたがった年端の行かない子供の騎士の光景が目に浮かびます。
     管楽器での演奏では嫌な音型です。両手をバランスよく使えるピアノらしい曲です。


  10. むきになって
     Almost Too Serious (Fast zu ernst)

     むきになっている昔の子供の頃の自分が見えます。あれ、今でもかわりないですね。
     あえて小節の一拍目を強音とせず、すべて前の小節からのタイにした辺り、難いです。


  11. 怖がらせ
     Frightening (Fürchtenmachen)

     怖いですね。こういうお話を年下の子供にするお姉さんやお兄さん、いましたね。
     速い箇所を3回挟む曲ですが、もっと速く演奏して、もっと怖がらせてやるべきでしたかね。


  12. 眠りに入る子供
     Child Falling Asleep (Kind im Einschlummern)

     同じ音型の音を繰り返し演奏させているのは、催眠効果を表しているのでしょうか。
     単純な子供は、最後はやっぱり眠りにおちてしまいますね。ええ、それで良いのです。


  13. 詩人は語る
     The Poet Speaks (Der Dichter spricht)

     これがシューマンの「詩人の恋」の詩人であるかどうかは、言わずもがなでしょう。
     大人の詩人を見つめ、詩人の語る言葉に耳を傾ける少年(少女)の情景で幕を閉じます。




各曲について、もっと突っ込んで知りたいという方には、こちらを紹介させて戴きます。香港在住の自称ピアノ狂、荒井千裕さんによる解説です。荒井さんご自身が各曲に対して抱いている印象が面白いです。


使用楽器 (A=440Hz)

   ソプラニーノ      キュング         ローズウッド
   ソプラノ         モーレンハウエル   グラナディラ
   アルト          メック           オリーヴ
   テナー         メック           ボックスウッド(オトテール)
                全音            チェリー
   バス          ヤマハ           メイプル
   グレートバス     キュング         メイプル
   コントラバス      キュング         メイプル
   サブ・コントラバス  キュング         メイプル (+エフェクタ)





Papalinの多重録音で、お聴き下さい。m(_ _)m



"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""



Papalinの一風変わった人生を応援して下さる方、
この写真(↓)をポチッと押して下さると嬉しいです。 m(__)m

にほんブログ村 音楽ブログ 楽器・音楽機材へ
にほんブログ村

この記事へのコメント

ichi
2013年02月28日 12:49
ピアノのイメージとは全く違っていて面白いですね。特に印象深かったのは、トロイメライです。ピアノの演奏者によってもだいぶ印象は異なりますが、リコーダーの演奏では、音が減衰することなく和音がしっかり聴こえるので、音がより深く浸み渡っていく感じが味わえました。いい曲だとしみじみ思います。怖がらせなんかも人と人の掛け合いになっている音が新鮮です。終いの3曲なんかは昔はどちらかというと溶け込めなかったのですが、今聴くととてもいいですね。作品を味わい深いものにしています。最後の曲なんてもう子供なんかどっかに行っちゃっている(笑)としか思えません。おいおいシューマン!!ですね。こういう作品への「のめりこみかた」好きです。
Papalin
2013年02月28日 13:36
◆◆ ピアノのイメージとは全く違っていて面白い・・・

ichiさん、ありがとうございます。
私には、ピアノのイメージが殆どないので、何とも言えませんが、トロイメライに関しては、ichiさんが仰る通りかと思います。リコーダーなので、基本的に音が鳴っているか鳴っていないかのどちらかであるということに加えて、ピアニストなら一つの和音の中でも、この音は殆ど聞こえないくらいに演奏するだろうな、という辺りが楽器の違いによる印象の違いの大きな点でしょうかね。

トロイメライは、同じパターンが何度も繰り返されますが、その度に意外な調に移ったりで、非常に面白いというか、巧妙な曲だと改めて感じました。

怖がらせのような、そのまま登場人物が見えるような音描写が素晴らしいです。シューマンを苦手とする人には、こうした具象的な表題音楽が苦手だと言われる方がいるようです。

「詩人は語る」は、ichiさんが仰るように、そこには子供の姿は見えなくても全くおかしくないような曲だと思いました。

のめり込んでいる理由というか、特に論理的な理由はないのですが、その辺りの私の心境をichiさんが何となく掴んで下さったような気がしています。
ichi
2013年12月31日 10:16
2013年第2位は、これ シューマンのピアノ曲集「子供の情景」 Op.15
ピアノとは違った曲の魅力をリコーダーで引き出しているとおもいます。特にいいのが、トロイメライです。
Papalin
2014年01月04日 10:28
◆◆ ピアノとは違った曲の魅力をリコーダーで引き出している…

ichiさん、ありがとうございます。
この曲集を選んで下さってありがとうございました。私もこの曲集はベストテンに入れました。この曲集に取り組んだのは、一曲目の「見知らぬ国と人々について」が、ソプラノ・リコーダー用の楽譜に掲載されており、それが曲集の中の曲だと知って、では曲集全部を演奏してみようかと思ったのがきっかけでした。ichiさんが選んで下さった有名なトロイメライもこの曲集の中の一曲だったということを知りました。

私もトロイメライの演奏は気に入っています。そして3曲目の「鬼ごっこ」、4曲目の「おねだり」も大好きです。結論として私がなぜ10曲目の「むきになって」を選んだのかというと、"むきになる"というのが如何にも子供の特徴的な所作であって、そこをシューマンが見逃さずに音楽に取り上げたこと、そしてシューマン自身がむきになってシンコペーションの嵐で作曲したこと、その辺が理由です。演奏(多重録音)が難しかったという記憶もありました。

え、50歳を過ぎてもむきになる大人がいるって?
聴こえなかったことにしておきましょう。
sugaga
2014年11月17日 17:56
突然のコメント失礼します。
わたしも趣味でリコーダーをやっています。
いつかトロイメライをリコーダーで演奏してみたいなあと思っていて、参考にしたくて演奏してる人いないかなと探していたらこのブログを見つけました。
リコーダーの素朴でやわらかい音色が曲と合っていて涙が出ました。
当方クラシックにはあまり詳しくないですが、この曲は大林宣彦監督の「転校生」という映画で使われていて、大好きになりました。
Papalin
2014年11月17日 20:15
◆◆ リコーダーの素朴でやわらかい音色が曲と合っていて…

sugagaさん、ありがとうございます。
私はピアノは全く弾けませんが、ピアノ曲をリコーダーで演奏するのは得意なようです。トロイメライは子供の頃、姉がよく弾いていたのを耳にしましたので、自分では弾けなくても、とても懐かしい感じがします。是非、リコーダーで演奏してみて下さい。(*^_^*)
 
「転校生」に登場したのですね。知りませんでした。

この記事へのトラックバック