◆IL DIVO◆ 17: 『楽譜の歴史』 奏法譜(タブラチュア) 【初期鍵盤譜】
≪毎日がコンサート本番!≫

Music Gallery 3.Tablature - 1.Early Keyboard works
URL : http://papalin.yas.mu/W708/#M121
◇公開日: 2013年10月13日
◇演奏時間: 12秒
◇録音年月: 2013年10月
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Papalinの音楽室でお聴き下さい。
13世紀の中頃から16世紀末にかけての定量記譜法は主に声楽作品のためのものでしたが、それと並行して15世紀から17世紀にかけて、楽器のための特殊な記譜法が広く使われていました。奏法譜(タブラチュア)と呼ばれるものがそれで、楽器の演奏法を具体的に表示する記譜法です。したがって一つひとつの楽器はそれぞれ固有の奏法譜をもつことになりますが、中でも特に重要なのが、リュートと鍵盤楽器のための譜法でした。
リュートの奏法譜は、弦を指でおさえる位置を記号で表すものです。イタリアやスペイン(ビウエラというギターに似た楽器が愛奏されていました)では、数字による表示法が使われていました。これに対して、フランスではabcなどの文字を使い、イギリスやドイツにも広がりました。16世紀ドイツでは独自の煩雑な記譜法が登場します。
鍵盤奏法譜は、鍵盤中の押すべきキーの位置を、数字や文字などで表示する譜法です。スペインではヘ音から順に番号が振られ、オクターブで一巡する方法でしたが、ドイツでは、高音部(主として右手)は定量譜で、低音部は音名を表す文字で表示していました。バッハも依然としてこの古いドイツ固有の方法を使っています。
鍵盤奏法譜と並行して、イタリア、フランス、イギリスなどの鍵盤用楽譜には、近代記譜法にきわめて近い表示法が使用されました。それは既に15世紀に行われていたもので、上下2段の大譜表、小節線の使用、2分割法などを特徴としています。
では、順を追って音と共に一緒に楽譜を見ていきましょう。
【46.ランディーニのバラータによる鍵盤用編曲 (15世紀 パリ)】

15世紀の楽譜ですが、上下2段の大譜表の配置、小節線の使用、2分割法の優位などの点で、はっきりと近代記譜法の特徴を予告しています。こんなに古い時期に、もうこのような譜法が出現していたのです。ただし譜線は6本です。曲は14世紀イタリアのランディーニ作曲のバラータを鍵盤用に編曲したものです(パリ 王立図書館所蔵)。
2分割法について、ちょっと補足します。16世紀までの計量記譜法では、音の長さは2分割あるいは3分割されていました。どちらを使うのかは楽譜の先頭に、メンスレーション記号と呼ばれる記号(4分の4拍子を表す、円の一部が欠けた"C"の記号もその一つです)で書かれました。古代から中世までは、三位一体を表す3分割が音楽における完全な姿で、メンスレーション記号では"○"と書かれます。一方の2分割による音楽は不完全なものとして、円の一部が欠けた"C"の形で示されました。2分割法とは、すべての音価(音の長さ)を2分割で表示する方法で、それは現代の私たちの楽譜の”常識"と同じようになったということですね。
写真の楽譜には、小節線がはっきりと見えます。そして現代のピアノ譜と同じように、2段で表す大譜表です。まさに近代記譜法の名にふさわしい形です。
鍵盤用に編曲された楽譜ということでしたので、現代譜に置き換えられた6小節のみの譜例で演奏しました。昭和40年代製の鍵盤ハーモニカでの演奏です。
楽譜は、音楽之友社のISBN4-276-38008-1 C0073を使用しました。
使用楽器
ソプラニーノ キュング ローズウッド
ソプラノ モーレンハウエル キンゼカー(メイプル)
ソプラノ モーレンハウエル グラナディラ
ソプラノ フェール パリサンダー
アルト モーレンハウエル キンゼカー(メイプル)
アルト メック オリーヴ
テナー モーレンハウエル キンゼカー(メイプル)
テナー メック ボックスウッド
テナー 全音 チェリー
バス ヤマハ メイプル
グレートバス キュング メイプル
コントラバス キュング メイプル
チェンバロ ギタルラ社 フレミッシュ・タイプ
鍵盤ハーモニカ 鈴木楽器 メロディオン
ギター クラシック・ギター
打楽器 大小ジャンベ、鐘等
Papalinの多重録音で、お聴き下さい。m(_ _)m
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