◆IL DIVO◆ 28: 『楽譜の歴史』 近代記譜法 【バッハ自筆楽譜】
≪毎日がコンサート本番!≫
Music Gallery 4.Modern staff notation - 2.Johann Sebastian Bach original score
URL : http://papalin.yas.mu/W708/#M132
◇公開日: 2013年10月21日
◇演奏時間: 3分29秒
◇録音年月: 2013年10月
上のアルファベットの曲目名をクリックして、
Papalinの音楽室でお聴き下さい。
小学校の音楽室に飾られているクラシック音楽の作曲家の肖像で、ヴィヴァルディと古さの一二を争う、ヨハン・セバスチャン・バッハですが、著書では終わりから6ページ目になってやっと登場しました。楽譜の歴史はバッハ以前の発展が主で、バッハの時代にはほぼ現代の私たちが使う楽譜に近かったということです。音楽の父という呼称に異論はありませんが、音楽の祖父、曽祖父をはじめ、ご先祖様が沢山いらっしゃることを忘れてはいけないですね。2000年を1mの物差しに例えると、バッハが登場するのは85cm近辺ですものね。
【67.プレリュード、フーガ、アレグロ 変ホ長調 BWV998 (J.S.バッハ作曲) (18世紀 ドイツ)】
ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685-1750)のリュートあるいはクラヴィアのための前奏曲、フーガ、アレグロ 変ホ長調(BWV998)の自筆楽譜です。前奏曲が通常の近代譜によるのに対して、大3曲のアレグロの終結部(第88~96小節)は下欄の欄外に記され、古いドイツ固有の鍵盤奏法譜を使用している点が注目されます。奏法譜の方が詰めて記入できるので、紙面が不足した場合に都合がよかったのでしょう。倹約家バッハの面目躍如たるものがあります。奏法譜の始まりの部分の解読譜が添えられています(東京 上野学園所蔵)。
この曲の自筆譜は、上野学園にあるのですか? ちょうど一年前に上野学園の歴史的な楽器の展示室を音連れたのですが、このことには無頓着でした。情けないです。
皆川達夫さんの文章から、色々なことを想像してしまいます。バッハはなぜ最終部分だけ古い記譜法を用いて書いたのか。節約家と結論付けるのは構いませんが、なぜそういうことになったのかということに関心があります。つまり、曲を終結させるところまで、最初から頭にあったのであれば、ちゃんと小節数をカウントして1枚の用紙(ページ?)に収まるように、最初に割り振りをしたのではないかと思います。少なくともこんな辻褄合わせのような書き方はしなかったのではないか、むしろ、楽想が湧いてくるままを楽譜にしていった、その結果、足りなくなったとは考えられないでしょうか。更に推し進めて考えますと、その結果足りなくなったので、曲を終結にもって行ったとも考えられます。真相はわかりませんけれど、少なくとも言えることは、自筆楽譜には清書された現代譜ではわからない、作曲家がその作品に対峙した物語が見えるということですね。
それにしても、難しい曲でした。バッハの音の運びって、予想できそうで出来ないのです。
【68.マタイ受難曲より コラール「血しおしたたる」 BWV244 (J.S.バッハ作曲) (18世紀 ドイツ)】
大バッハの<マタイ受難曲>(BWV244)の自筆譜です。写真の上段に有名なコラール<血しおしたたる主のみ頭>が記されています。左ページおよび右ページの下欄のように、バッハは聖書から引用した言葉は赤インクを用いて記し、他の通常の歌詞と区別していることが注目されます。その筆づかいは男性的で雄渾で、そのままバッハの音楽を鳴り響かせています(ベルリン ドイツ国立図書館所蔵)。
バッハが几帳面な性格だったというのは、至る所で目にしますが、後世の人々にそう言わしめているエビデンスの一つがこうした楽譜なのでしょう。実際のところ、几帳面な性格ではない私でも、引用部分は色を変えて書こうという発想もすると思います。赤インクが貴重なものだったのかどうかは知りませんけれど。
さて演奏ですが、不思議とこの有名な曲を一度も歌ってはいなかったということが分かりましたので、今回は歌ってみました。男声四重唱でお聴き下さい。
楽譜は、音楽之友社のISBN4-276-38008-1 C0073を使用しました。
使用楽器
ソプラニーノ キュング ローズウッド
ソプラノ モーレンハウエル キンゼカー(メイプル)
ソプラノ モーレンハウエル グラナディラ
ソプラノ フェール パリサンダー
アルト モーレンハウエル キンゼカー(メイプル)
アルト メック オリーヴ
テナー モーレンハウエル キンゼカー(メイプル)
テナー メック ボックスウッド
テナー 全音 チェリー
バス ヤマハ メイプル
グレートバス キュング メイプル
コントラバス キュング メイプル
チェンバロ ギタルラ社 フレミッシュ・タイプ
鍵盤ハーモニカ 鈴木楽器 メロディオン
ギター クラシック・ギター
打楽器 大小ジャンベ、鐘等
Papalinの多重録音で、お聴き下さい。m(_ _)m
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