◆IL DIVO◆ 五線譜でたどる音楽の歴史 D:ミネゼンガーとマイスタージンガー
≪毎日がコンサート本番！≫
Music History in Examples. From Antiquity to J.S. Bach (Otto Hamburg) / Minnesänger and Meistersinger
URL : http://papalin.yas.mu/W711/#M004
◇公開日: 2014年3月15日
◇演奏時間: 2分23秒
◇録音年月: 2014年3月
上のアルファベットの曲目名をクリックして､
Papalinの音楽室でお聴き下さい。
オットー・ハンブルク（Otto Hamburg）著による『五線譜でたどる音楽の歴史（Music History in Examples. From Antiquity to Johann Sebastian Bach）』に掲載された楽譜を用いて演奏しています。
【D:ミネゼンガーとマイスタージンガー】
9. ミネゼンガー「パレスチナの歌」 / ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデ
Crusaders' Song / Walter von der Vogelweide (c1170-1230)
1200年頃に発生したミネゼンガー（Minnesänger）たちの芸術は､トロバドールとトルヴェールたちの芸術に倣って出来たものである。このドイツの芸術は､フランスの場合と同様に､もっぱら愛（Minne）に関する事柄を取り上げ､社会問題や政治問題に触れることは滅多になかったが､トロバドールとトルヴェールの旋律が長調や短調にになりがちだったのに対して､ミネゼンガーたちの場合には､教会旋法が優位を占めている。彼らの愛の歌に用いられたバール形式（Barform）は､トロバドールのカンソ（シャンソン）やトルヴェールのバラードに見られる a-a-b形式と一致する。ここでは「パレスチナの歌（または十字軍の歌）」（おそらく1228年の十字軍と関連している）を取り上げた。bの終止形がaの終止形と同じであることは､注目に値する。
短調の音階と殆ど同じなのですが､主音の一つ下の音が半音ではなく全音ですので､教会旋法といえるのでしょう。それにしても､現代人の私たちにとっても殆ど違和感がありません。
10. マイスタージンガー「黄金の調べ」 / ハンス・ザックス
Der gülden Ton / Hans Sachs (1494-1576)
ザックスは､16世紀のマイスタージンガー（Meistersinger）を代表する人物たちの中でも最も令名高い人であった。マイスタージンガーの組合は､ミネゼンガーの芸術資産を継承しようと志す人たちで構成されていた。けれども彼等の芸術活動は､作歌の規則（Tabulaturen）が余りにも難しくなりすぎて､おしまいには堅苦しい創造性の無いものになってしまった。バール形式がことに念の入ったものとなり､ここに取り上げた曲中の２つのシュトルレン（Stollen, aの部分）はブルーメン（Blumen,花）と呼ばれた。リヒャルト・ヴァーグナー（Richard Wagner）は､自作のオペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガーたち」（Die Meistersinger von Nürnberg）の中で､歌唱訓練の場でのマイスタージンガーたちの交状を鮮やかに描き出している。
同じ音が続く部分は､器楽だと異様な感じになってしまいます。歌えば趣は異なるでしょう。また､解説にあるように､非常に複雑なリズムの曲です。技巧を追及するあまり、芸術性を損なう結果となってしまったのは､中世音楽の最後の時代に登場したアルス・スブティリオルと共通するものを感じます。ルネサンス音楽がアルス・スブティリオルの音楽を駆逐していったように､マイスタージンガーの音楽も､何かにとって代わられたのでしょう。それにしても「黄金の調べ」とは､皮肉なタイトルです。
楽譜は､アカデミア・ミュージックから1982年に徳永隆男・戸口幸策による共訳で1982年に出版された
『五線譜でたどる音楽の歴史』を使いました。
使用楽器
ソプラノ モーレンハウエル キンゼカー
アルト モーレンハウエル キンゼカー
テナー モーレンハウエル キンゼカー
バス モーレンハウエル キンゼカー
バス ヤマハ メイプル
グレートバス キュング メイプル
コントラバス キュング メイプル
Papalinの多重録音で､お聴き下さい。m(_ _)m
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