【スタジオ・パパリン メルマガ Vol.20 2016/05月号】

スタジオ・パパリン [CD・楽譜]  [武藤哲也 リコーダー&オカリナ教室]


2014年11月から始まったスタジオ・パパリン・ショップのメルマガ。
ショップのお客様だけでなく、皆さまにもご紹介したいと思いましてこちらにも掲載致します。

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今日はものすごい雨が降っています。この雨が通り過ぎれば5月らしい晴れの日が続くようなので、しばらくの辛抱です。その時間を使って5月のメルマガを書きましょう。誤解を恐れずに、今日は私の正直な想いを書きます。

我が家はガリバリウム鋼板、いわゆるトタン屋根なので雨音は大きく響きます。なので多重録音をすると雨音も多重録音されて多重回数分だけ増幅されるので、雨が強いと録音しません。

ならば地道に練習すればいいじゃないかということですが、私はそれもしません。仔細を端折って言うと、私は楽譜を譜読みして、そのまま多重録音に入ります。

譜読みとは何でしょうか。音を確認すること? 難しい個所を見つけること? そうではないですよね。作曲者の頭の中を想像すること、作曲者の意図や狙いを見つけること、そしてそれを演奏者である私はどう表現するのか(したいのか)を考えること、だと思っています。

多くの生徒さんと接していますと、こういう作業というか工程を経ずに、いきなり音を出し始める方が多いように思います(ですから私の仕事が成り立っているという面もありますが…)。多いというのは、そうでない方もいらっしゃるということです。生徒さんに私が必ず言うのは、演奏を始める前に考えることが重要ですということです。譜読みの開始は、まず3つを確認することから始めてもらいます。まず、曲のタイトルを知る、次に作曲者を知る、3つ目はAllegroなどの速度標語や発想標語を知る、そしてこれらの情報から、思いっきり先入観を抱いて下さいと言います(私は物事を多少大袈裟に言う傾向があります)。また3つの情報のどれかが欠けていても問題ではありません。それが作曲者の意図かもしれませんので。

まず、曲のタイトルを見て、自分の今日までの人生経験(もちろん知識も)を総動員して先入観を持ちます。タイトルがただ単に「ロンド」であったとしても、そこから情報は得られます。作曲者に対しても同じです。作曲者が不明の場合は、曲の誕生した国や地域、時代が大きなヒントです。どんな状況下で生まれた音楽なのか、想像することができます。歌の場合は作詞者も重要な情報ですね。3つめの速度標語では、例えばAllegroだったら、時代や国によって、その意図するところは違います。音楽史の知識、レッスンで得た知識、演奏経験が役立ちます。こうしてイメージを持ってから初めて音符と対峙してほしいと思っています。アンサンブルでは自分のパートだけでなく、全体を見ます。木を見るだけでなく森を見る、音だけではなくて、音楽を見ます。こういう過程を経て自分の演奏スタイルを考えて決めたら、私の場合はもうそれで多重録音に入ります。もちろん、技術的に困難が予想されるところは練習しますけれど。

先日のレッスンで、ある方から「先生、演奏するって、常に考えながら行うんですね。」と言われました。その通りだと思います。というか、少なくとも私はそうしています。演奏中も演奏前も。蛇足ですが、直感も否定しません。ただし良質なものであれば。

私たちの脳は刺激を欲しがっているもののようですね。初めの頃は音楽を演奏するのに考えずに演奏していて楽しくても、徐々に脳が充足感を得られなくなって、やがては演奏に飽きてしまうかも知れません。演奏中は何も考えませんと仰る人でも、演奏前までの熟考があったからこそ言える言葉だと思います。

鍵盤奏者の小林道夫さんが、これから音楽を生業にしていこうとする学生さんたちに言った言葉が、私の胸に突き刺さりました。
「生きているついでに音楽をしないでください。」

あれ、まだ雨はやみませんね。譜読みします。(^_^;)


スタジオ・パパリン Studio-Papalin
武藤哲也 (山の音楽家 Papalin)
http://studio-papalin.com/



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この記事へのコメント

2016年05月18日 07:09
小林道夫さんのお言葉、グサっときました。

演奏家というお仕事は本当にすごいお仕事でいらっしゃいますね。丸裸で人前に立っているようなものですものね。
演奏家になりたいなんて思ったことは一度もないのですが、Papalinさんのいつかの文章を読ませて頂き、もっと私も聴いていただこうかな、という仄かな想いが生まれました。
Papalin
2016年05月19日 10:49
◆◆ 丸裸で人前に立っているようなものですものね。

keikoさん、ありがとうございます。
おっしゃる通りです。ときどき、パンツを履き忘れます。(^_^;)

演奏家だけでなく、音楽家にとっての音楽は、そこらに散らかっているものでは困るんですよね。真剣に対峙している対象です。それはきっと私たちも同じだと思います。ジャンルのことではなくて、ピンキリの世界だと思っています。でも、全部ひっくるめて音楽。それは詩や俳句などの文学も、絵画、彫刻などの美術も建築もきっと同じでしょう。

是非演奏して下さい。
私は生徒さんをもつ先生は、自らの表現する場を生徒さんも含めた皆さんに見て(聴いて)戴くのが務めだと思っています。(^_^;)
Tさん(FB)
2016年05月20日 09:38
とても真面目に読みました。勉強になりました。たまにはいいこと言いますね~(( ゚Д゚)コラ!)
Papalin
2016年05月20日 09:39
ありがとうございます。大袈裟なところも、反論も、多々あろうかと思いますが、大意というか主旨を汲んで下さったようで、嬉しく思います。これは音楽家、演奏家、教える立場になって強く感じたことです。漫画家もきっとそうでしょう?
Tさん(FB)
2016年05月20日 09:39
多分きっと同じです。多分…と言ってしまうのは、まだ私が直観寄りだからです(;^ω^)ここ一年くらいは直感だけに頼らずに、考えるということもしなければと意識していますが…
Papalin
2016年05月20日 09:39
例えば、モーツァルトは楽譜を書くのは作業に過ぎなかったようです。頭の中に新しい作品がもう出来上がっていたから、あとはそれをみんなに知らせるための作業。

素晴らしい小説も、執筆の過程でどう表現するかは変わっても、書く前からきっと「素晴らしい小説」になっていると思います。

きっと、智子さんの漫画も。

もう一つ蛇足で、あるとき読んだことがあるのですが、大阪万博の太陽の塔を作った岡本太郎、「芸術は爆発だ!」で有名になりましたが、本当は「芸術は場数だ!」と言ったのを聞いた人が聴き取れなくて爆発になってしまったのだとか。爆発でもそのまま行けちゃうような作品だったからか、太郎さんもあえて修正しなかったとか。それはさておいて、場数はあると思う。これは自分のささやかな経験上、そう思います。
Tさん(FB)
2016年05月20日 09:40
場数。私もそれは感じます。ビギナーズラックには憧れるけど、今は遅咲きの漫画家を目指しています(^ω^)ゝ
Papalin
2016年05月20日 09:41
Yさん(FB)
2016年05月20日 09:42
すごく、心に響きました。音楽でも、さまざまな創作物すべて、その方の生きてきた環境を背景に、どのような思い入れでできたのか考えたら、見方が、深くなるんですね!

すべての人が、これを言ったら、相手が傷つくだろう、こんなことしたら、相手に迷惑をかけるだろうという、想像力がはたらけば、どんなにか、世の中が、平和になるだろうと思います。
Papalin
2016年05月20日 09:42
ありがとうございます。
たまに、思っていることを言いたくなります。でも、それで傷つく人もいるかもしれません。でも、私はこういう人だとさらけ出す方が、私は好きです。宇宙の営みに比べたら、人間なんて、とるに足らないものだと腹をくくると楽になりますね。(^_^;)
Yさん(FB)
2016年05月20日 09:42
なるほどです(^^)/♪♪♪
Papalin
2016年05月20日 09:43
Hさん(FB)
2016年05月20日 09:43
歴史的背景はともかく(知識がないので)、私は新しい曲を頂くと、妄想します。時には、大河ドラマになってますが.... それとは別?
Papalin
2016年05月20日 09:44
同じではないかも知れませんが、妄想、大河ドラマ…、いいですね。
私の場合、音を見始める前に、妄想してください…ということです。もちろん、音を読んで、その妄想に関して確かめたりすることも重要な工程だと思っています。(#^.^#)
Hさん(FB)
2016年05月20日 09:44
ところが、古典の曲をやりはじめてから、妄想が...貧弱になってましてね.... テレマンさんは変な人なんじゃないかと思います。
Papalin
2016年05月20日 09:44
十分に浩大な妄想だと思います。)^o^(
Hさん(FB)
2016年05月20日 12:54
・・・もっと掘り下げて言うと、大学時代に好きだった男性に似てます。本当に無口な人だったんですが、演奏を聴く限りでは「ああ、この人には言いたい事が沢山有るんだ」とか「通常の人では理解できないくらいディープな人なんだ」って、色々こっちが想像(妄想?)して夢中になってたんですが、実は何も考えていない(音楽以外の事に関しては)人だったという事がわかり(爆)冷めました。

こちらは「この人の頭の中に咲いている花はどんな花だろう?どんな姿で、どんな色で、また、その香りは?きっと芳醇な甘い香りなんだ!」と、どんどん想像が膨らませているのに、実は、花どころか、月さえ上がってない炎天下の砂漠で、脱水症状を起こして死にかけたっていう・・・。考えすぎるのも問題かも・・・。 つまり・・・テレマンに苦戦しています。
Papalin
2016年05月20日 12:54
あはは。その人と私、似てるかも。(^_^;)
Hさん(FB)
2016年05月20日 19:19
いえ、Papalin 先生はディープな方です。
Papalin
2016年05月20日 19:19
20歳くらいの時に、Deep PurpleやLed Zeppelinにはまりました。髪の毛を胸まで伸ばして茶髪に染めて、バロック音楽を演奏していました。(^_^;)
Hさん(FB)
2016年05月21日 05:54
十分、ディープかと・・・。Deep Purpleはわからないけど、Led Zeppelinはディープでしょう。とりあえず。
Papalin
2016年05月21日 05:54
ありがとうございます。(^_^;)

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