【スタジオ・パパリン メルマガ Vol.100 2022/12月号】



2014年11月から始まったスタジオ・パパリン・ショップのメルマガ。
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12月は自分の時間がとれましたので、フランス生まれのバロック期の作曲家、ゲオルク・ムッファトの管弦楽組曲(フランス風序曲)を4つ演奏しました。各組曲はそれぞれが7曲で構成されています。ネットで公開した演奏を聴いてくださった一人の生徒さんが「この音楽は長くて飽きてしまう。そしてどの曲を聴いてもみな同じように聴こえる。」と感想を聞かせてくれました。私は殊の外フランス風序曲というジャンルの曲が好きですので、その言葉は少なからず残念に思いました。然しながら一体何故そう感じるのだろうとその理由を考えてみましたら、然もありなんと思ったのでした。

フランス風序曲に限った話ではありませんが、バロック期の音楽は多くがある決まった様式や形式で書かれています。とくにこのフランス風序曲では、冒頭にその名も序曲という曲がありまして、これがゆっくりとした曲ではありますが複付点できびきびと演奏され、途中から今度は速い曲に途切れなく変わる…という形式を備えています。そのあとの6曲は様々な曲が続きますが、それらはサラバンドやジーグやメヌエットといった舞曲です。バッハの舞曲は踊るための曲ではなくて様式だけが残ったものですが、ムファットの舞曲はおそらくそのまま舞踏会で踊られたときの音楽でしょう。揺らぎのないテンポで演奏されます。ですので抑揚や変化が感じられないと言えばその通りです。例えばガヴォットという舞曲は4分の4拍子の曲ですが、必ず3拍目から始まります。これも踊りからくる制約(様式)です。こうした様式の中で作曲することは、誤解を恐れずに書かせて戴くと、比較的簡単にできることです。ですので何曲も似たような?曲を作ることも可能です。逆に何も制約がなくて自由な方が大変です。

生徒さんが仰ったことは然もありなんですが、ならば私が何故そんなフランス風序曲が好きかと言えば、それは様式美の中に身を委ねる幸せを感じるからだと思います。和歌も俳句も欧州のソネットなどの定型詩も様式の中で作られます。様式美は制約、形式と言い換えても良いですね。そしてこの組曲の場合は更に元になる踊りがあること、その踊りそのものを知るようになれば、これらの舞曲への興味も湧くかも知れませんね。YouTubeなどで踊りを観ることもできます。

私の演奏は、↓こちらです。
https://papalin.yas.mu/W339/

今年もお世話になりました。メルマガも100号になりました! 来年が皆さまにとって素晴らしい年となりますよう。


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武藤哲也 (山の音楽家 Papalin)
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